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日本ナシ「幸水」の休眠打破法


[要約]
日本ナシ「幸水」では、自発休眠期間中の花芽の発育ステージが0.8に達した時に、シアナミド液剤5倍液を散布すると休眠が打破される。花芽着生穂木を接ぎ木する場合は、穂木を摂氏3度の恒温で1200時間程度、低温処理すると自発休眠完了が促進される。

[キーワード]
日本ナシ、幸水、休眠打破、シアナミド、穂木、低温処理

[担当]
鹿児島果樹試・北薩支場

 [連絡先]0996-42-0049
 [区分]九州沖縄農業・果樹
 [分類]技術・参考
 

[背景・ねらい]
暖地における日本ナシ「幸水」のハウス栽培では、ビニル被覆や加温の時期を制限している休眠を制御することによって、開花を早め、早期収穫が可能となる。そこで、花芽の自発休眠覚醒期予測モデル(杉浦ら;1997)を基にした休眠打破法と、花芽の着生した穂木を低温遭遇させて接ぎ木を行う場合の低温処理法を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 日本ナシ「幸水」では、自発休眠覚醒期予測モデルの花芽の発育ステージが0.8の時に、シアナミド液剤5倍液を散布することによって休眠が打破される(表1表2)。

  2. えき花芽が2芽着生した穂木を秋季に採取し、厚さ0.03mmのポリ袋に包装後、摂氏3度で1200時間程度の低温処理をすると休眠完了が促進される(表3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 日本ナシ「幸水」のハウス栽培における早期開花・収穫技術として活用できる。

  2. 花芽着生穂木を接ぎ木する場合、中間台の健全な成育を図るため接ぎ木前に休眠打破剤を散布する。

  3. 穂木は自然条件下で低温に遭遇しているものを用いる。

[具体的データ]

表1 「幸水」の発育ステージ別シアナミド液剤散布が開花に及ぼす影響(平成10年)


表2 シアナミド液剤の処理方法が「幸水」の開花に及ぼす影響(平成11年)


表3 低温処理時間及び芽数が「幸水」の接ぎ木活着及び開花・結実に及ぼす影響(平成11年)

[その他]
研究課題名:ナシの超早期出荷技術の開発
予算区分 :超省力園芸
研究期間 :1997〜2000年度

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