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カキ「西村早生」および「太秋」の花芽分化


[要約]
カキ「西村早生」の花芽原基は6月上旬に分化を開始し、その後10日程度で雌花と雄花の区別ができる。「太秋」の分化期は「西村早生」より10日程度遅れる。長い新梢は短い新梢より分化が遅れ、先端部分に雌花が分化しやすい。分化した花芽の発育は雄花が雌花より早い。

[キーワード]
カキ、西村早生、太秋、花芽原基、分化、雌花、雄花

[担当]
福岡農総試園研・果樹部・落葉果樹研究室

 [連絡先]092-922-4946
 [区分]九州沖縄農業・果樹
 [分類]科学・普及
 

[背景・ねらい]
本県カキの主要品種である「西村早生」、大玉で品質が優れ、今後の増殖が期待される「太秋」はいずれも同一樹内に雌花と雄花を着生する雌雄同株であり、樹齢の進行に伴って雄花が増加し、雌花が減少して収量が不安定となる。両品種の収量安定を図るためには、雌花と雄花の分化・発育の実態を解明し、雌花着生技術を確立する必要がある。カキの花芽分化期は6月下旬〜7月中旬頃とされているが、雌雄同株品種の雌花と雄花の分化期については、7月説と翌年3月上旬説があって見解が統一されていない。そこで、両品種の雌花と雄花の分化、発育の実態を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 「西村早生」では、新梢腋芽内の花芽原基は6月上旬に分化開始し、その後10日程度すると雌花と雄花に区別できる。雄花は6月いっぱい、雌花は7月いっぱい頃まで分化する(図1)。「太秋」では分化開始が「西村早生」より10日程度遅れて開始するが、その後は「西村早生」と同じ経過で花芽が分化する(データ略)。

  2. 花芽の分化は、短い新梢(15cm)の方が長い新梢(30cm)より早く(図1)、短い新梢では頂芽から基部まで雄花の分化が多いが、長い新梢では頂芽付近の腋芽には雌花の分化が多く、基部の腋芽には雄花の分化が多い(図2図3)。

  3. 分化した花芽原基は8月いっぱい頃まで発育を続け、雄ずい形成期まで達した後は翌春の発芽期まで発育しない。また分化した花芽原基の発育は、雄花が雌花より早い(図2図3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 雌花の分化が多い結果母枝を選択する場合の資料として活用できる。

  2. 収量の安定確保のためには、7月いっぱい頃まで雌花を分化するような栄養生長した長い新梢を得るよう、樹勢を強めに維持管理する。

[具体的データ]

図1 長さの異なる新梢上の花芽分化数の推移(西村早生)


図2 15cmの新梢の節位別花芽発育過程(西村早生)


図3 30cmの新梢の節位別花芽発育過程(西村早生)

[その他]
研究課題名:カキの着花特性の解明に基づく樹勢及び雌花着生調節技術の確立
予算区分 :受託試験(超省力園芸)
研究期間 :1997〜2000年度

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