カキの雨よけ栽培による果肉中のカロテノイド含量の変化
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[要約]
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カキの雨よけ栽培により、「新秋」では糖度が高まり果肉中のβ-クリプトキサンチンが増加し、果皮色が濃くなる。「伊豆」ではβ-クリプトキサンチンが増加するがリコペンが減少し、果皮色が薄くなる。
- [キーワード]
- カキ、新秋、伊豆、雨よけ栽培、β-クリプトキサンチン、リコペン
- [担当]
- 福岡農総試園研・果樹部・落葉果樹研究室
[連絡先]092-922-4946
[区分]九州沖縄農業・果樹
[分類]科学・普及
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[背景・ねらい]
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近年、食品の機能性に対する関心が高まっているが、カキはカロテノイド含量が高いことが知られている。これまでに、本県で栽培されている甘ガキ品種が渋ガキ品種よりも果肉中のカロテノイド含量が多いことや、「新秋」を雨よけ栽培することにより果実品質が向上することを明らかにした(平成10年度成果情報)。特に、「新秋」の雨よけ栽培では露地よりも果皮色が優れることから、カロテノイド含量が増加するのではないかと考えられる。そこで、早生品種である「新秋」、「伊豆」の雨よけ栽培が果実品質や果肉中のカロテノイド含量に及ぼす影響を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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萌芽期から収穫期までの雨よけ栽培では、開花盛期が露地栽培より約1週間早くなるが、開花盛期から収穫日までの生育日数や積算温度には差がない(表1)。
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「伊豆」では果重、硬度、糖度に作型による差はないが、「新秋」では雨よけ栽培により糖度が高まる(表1)。
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雨よけ栽培により、「新秋」ではβ-クリプトキサンチンが増加してリコペンの減少もなく、果皮色が濃くなる(表2)。「伊豆」では、果肉中のβ-クリプトキサンチンが増加するが、リコペンが減少し、果皮色の赤みが薄くなる(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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「新秋」の機能性成分の一つであるカロテノイド含量を高める栽培法として活用できる。
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[具体的データ]
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表1 カキの雨よけ栽培による生育期、果実品質(平成10年)

表2 カキの雨よけ栽培によるカロテノイド含量と果皮色(平成10年)
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[その他]
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研究課題名:カキの品種及び栽培条件と機能性成分
予算区分 :県特
研究期間 :1996〜2000年度
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