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促成ナスの養液土耕栽培におけるかん水チューブの設置位置と土壌水分


[要約]
砂壌土における促成ナス「筑陽」の養液土耕栽培では、点滴かん水チューブを1畝に2本設置することにより畝内土壌水分の横方向への変動を小さくすることができ、散水チューブを用いた慣行栽培と同等の収量、品質が得られる。

[キーワード]
促成ナス、養液土耕栽培、点滴かん水チューブ、土壌水分

[担当]
福岡農総試・野菜花き部・野菜栽培研究室

 [連絡先]092-922-4364
 [区分]九州沖縄農業・野菜・花き
 [分類]技術・普及
  

[背景・ねらい]
促成ナス「筑陽」の養液土耕栽培は、施肥量を慣行施肥量の50%程度に削減できることを明らかにした(平成13年度成果情報)が、かん水方法や畝内土壌水分については不明な点が多い。そこで、促成ナスの養液土耕栽培におけるかん水方法を確立するために、点滴かん水チューブの設置位置と土壌水分の変動について明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 砂壌土(易効性有効水分9.5%)における促成ナス「筑陽」の養液土耕栽培では、点滴かん水チューブ(吐水口20cm間隔)を株を挟んで30cmの位置に1畝に2本設置すると散水チューブ(1畝2本)を用いた慣行栽培と同様の収量、品質が得られ、株当たりの総かん水量もほぼ同量となる(表1)。

  2. 養液土耕栽培において点滴かん水チューブを畝中央部に1本設置した場合は、生育前期(10月〜12月)に曲がり果の発生が多くなる(表1)。

  3. 養液土耕栽培では、点滴かん水チューブを1畝に2本設置することにより、1本設置した場合に比べ畝内土壌水分の横方向の変動が小さくなる。(図1)。

  4. 養液土耕栽培における畝内土壌のpF値は、慣行栽培に比べ深さ10cmでは高く、深さ30cmでは低く推移し、日毎の変動が少ない(図2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 環境負荷軽減のための促成ナスのかん水施肥管理技術として活用できる。

  2. 土壌の種類や下層土の条件によって点滴かん水による湿潤域が異なるので、pFセンサーの設置位置やかん水開始点のpF値は生育診断をしながら調整する必要がある。

  3. 砂壌土における養液土耕栽培では保水力を高めるために、有機物による土づくりが必要である。

[具体的データ]

表1 ナスの養液土耕栽培におけるかん水量及び収量・品質(1999年)


図1 養液土耕栽培における点滴かん水チューブの本数と畝内土壌(深さ20cm)のpF値


図2 畝内土壌(かん水チューブと畝中央の中間点)における深さ別pF値

[その他]
研究課題名:施設果菜類における施肥量削減技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :1999〜2000年度

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