Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成13年度目次

促成ナスの養液土耕栽培における施肥量削減


[要約]
促成ナス「筑陽」の養液土耕栽培は、地力が中程度の圃場(全窒素濃度が0.13%)において慣行施肥量(窒素70kg/10a)を50%程度削減できる。その場合の畝中央部とかん水チューブの中間点の土壌の硝酸態窒素濃度は10〜15mg/100gで推移する。

[キーワード]
促成ナス、養液土耕栽培、施肥量、硝酸態窒素濃度

[担当]
福岡農総試・野菜花き部・野菜栽培研究室、化学部・作物栄養研究室

 [連絡先]092-922-4364
 [区分]九州沖縄農業・野菜・花き
 [分類]技術・普及
  

[背景・ねらい]
果菜類において養液土耕栽培は、施肥量やかん水・施肥に懸かる労働時間を削減する技術として注目されている。しかし、促成ナスでは、養液土耕栽培における栽培方法が確立されていないため導入が遅れている。そこで、促成ナスの養液土耕栽培において施肥量と好適な土壌の硝酸態窒素濃度について明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 促成ナス「筑陽」は、全窒素濃度が0.13%、栽培期間中の土壌からの窒素供給量が20mg/100gで地力として中程度の砂壌土の圃場では、養液土耕栽培により慣行栽培の施肥量(窒素70kg/10a)を50%程度削減できる。その場合の1日当たりの施肥量は、10月〜2月の窒素施用量が130mg/株、3、4月が190mg/株、5、6月が250mg/株で、時期別収量に応じて調整する(表1)。

  2. 養液土耕栽培における土壌の硝酸態窒素濃度は、畝中央部で高く、点滴かん水チューブ下で最も低くなり、畝中央部とかん水チューブの中間点において畝内の平均的な値を示すため、この中間点が、リアルタイム土壌診断を行う場合の採土位置として適する(図1)。

  3. 慣行栽培の施肥量を50%程度削減させた場合の土壌の硝酸態窒素濃度(畝中央部とかん水チューブの中間点)は、概ね10〜15mg/100gで推移する(図2)。

  4. 養液土耕栽培において、過剰に施肥量を削減(慣行施肥量の80%削減)し、土壌の硝酸態窒素濃度が6mg/100g以下で推移すると厳寒期に曲がり果、細果の発生が多くなり、品質が低下する(表1図2、一部データ略)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 環境負荷軽減と省力化のための促成ナスの施肥管理技術として活用できる。

  2. 養液土耕栽培における施肥量は、地力によって異なるので、生土容積抽出法や硝酸イオン試験紙を用いたリアルタイム診断によって土壌の硝酸態窒素濃度を2〜4週間毎に測定し、好適硝酸態窒素濃度になるように施肥量を調整する必要がある。

  3. 養液土耕栽培において施肥量を削減するには、有機物による土づくりが必要である。

[具体的データ]

表1 養液土耕栽培におけるナスの収量および品質


図1 畝内土壌の採取位置と土壌の硝酸態窒素濃度(1999年)


図2 減肥率と畦内土壌の硝酸態窒素濃度(2000年)

[その他]
研究課題名:施設果菜類における施肥量削減技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :1999〜2000年

目次へ戻る