葉ネギの養水分管理とカロテノイド含量
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[要約]
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葉ネギは、葉身中にカロテノイドとしてβ-カロテンの他にルテインを多く含む。ルテイン含量は生育後期に水分ストレスをかけたり、水耕栽培において培養液濃度を高めると増加する。
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- 葉ネギ、ルテイン、β-カロテン、水分ストレス、培養液濃度
- [担当]
- 福岡農総試・野菜花き部・野菜栽培研究室
[連絡先]092-922-4364
[区分]九州沖縄農業・野菜・花き
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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葉ネギは、抗ガンや抗酸化作用があるといわれる機能性成分カロテノイドを含む野菜である。近年、消費者の健康志向が高まる中、葉ネギの付加価値を高め、消費拡大を図るためには、機能性成分含量を増加させる栽培方法を確立する必要がある。そこで、土耕栽培における水分管理や養液栽培における培養液濃度管理が、生育やカロテノイド含量に及ぼす影響について明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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葉ネギは、葉身中にカロテノイド類としてβ-カロテンの他にルテインを多く含む(表1)。
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土耕栽培では、草丈40cm以上の生育後期にpF2.7でかん水管理を行うと、pF1.9で管理したものに比べ、生育はやや遅れるが、葉色は濃く、葉身中のルテイン含量が増加する(表1)。
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湛液式水耕栽培では、草丈40cm以上の生育後期に、株元から水面の間に2〜5cmの空気層ができるよう水分ストレスをかけるか、培養液のEC値を2.3dS/mで管理すると、1.2dS/mで管理したものに比べてルテイン含量は増加する(表2、表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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付加価値の高い葉ネギの生産技術として活用できる。
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生育後期の極端な水分ストレスや培養液濃度の上昇は、葉先枯れの発生を助長するので注意する。
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[具体的データ]
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表1 土耕栽培における水管理と葉身のカロテノイド含量及び生育(2000年)

表2 水耕栽培における水分ストレスと葉身のカロテノイド含量及び生育(2000年)

表3 水耕栽培における培養液のECと葉身のカロテノイド含量及び生育(1999年)
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[その他]
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研究課題名:野菜の栽培方法と機能性成分
予算区分 :県単
研究期間 :1996〜2000年度
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