良食味の熊本長ナス新品種「熊本長ナス1号(仮称)」
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[要約]
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熊本県で在来種として栽培されていた熊本長ナスの遺伝資源収集を行い、それらの系統をもとに選抜・固定を図り、草勢、果形の異なる2系統を固定親として、ナスの新品種「熊本長ナス1号(仮称)」を育成した。
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- ナス、育種、品種、熊本長ナス1号
- [担当]
- 熊本農研セ・農園研・野菜部
[連絡先]096-248-6446
[区分]九州沖縄農業・野菜花き
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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「赤ナス」の名称で親しまれている在来の「熊本長ナス」は、果皮色が赤紫色で、果皮が薄く、肉質は柔らかく、食味が優れており根強い人気がある。しかし、生産農家ごとに自家採種されてきたため、果形や果皮色がばらつき、品質が不均一であることが問題であった。このため、地域特産野菜としての「熊本長ナス」の安定生産を図るために、在来種の良食味を維持しながら果実形質が均一な一代交雑品種を育成する。
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[成果の内容・特徴]
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県内在来系統及び農研センター保存系統から、外観品質の安定した固定系統を選抜して1代交雑品種「熊本長ナス1号」を得た。
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在来の「熊本長ナス」と同程度に草勢は強いが、やや生育が早く摘心時期も早くなる(表1)。
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果形の揃いは在来種よりも良く、果径は太く重量感があり、果実の先端はやや尖る。果皮色は同様の赤紫色である。また、果皮の硬さは在来種と同程度に弾力性があり、「筑陽」に比べ柔らかい(表2、写真1)。
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調理すると肉質は柔らかく、アクが少なく非常に食味が良い。
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[成果の活用面・留意点]
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熊本県内の「熊本長ナス」の栽培地域において普及が期待できる。適応作型は中山間地域では雨よけ栽培及び露地栽培で6月〜11月、平坦地域では半促成栽培で2月〜6月までの収穫が可能である。
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草勢が強く、葉は大きくなるため適宜摘葉を行うが、過剰な摘葉は草勢の低下を招く。また、草勢を維持するために早めに追肥し、適切な土壌水分管理を行う。
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土壌病害抵抗性は、従来品種と同程度であるため、接ぎ木栽培を行う。
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[具体的データ]
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表1 生育特性

表2 果実品質特性

写真1 熊本長ナス1号の果実
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[その他]
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研究課題名:熊本長ナスの品種育成
予算区分 :県単
研究期間 :1993〜2001年度
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