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夏秋ギク「岩の白扇」の6月開花作型における無側枝性発現技術


[要約]
「岩の白扇」の6月開花作型では、換気を肩換気のみとして日中の温度を高めることにより無側枝性を発現させることができる。

[キーワード]
夏秋ギク、岩の白扇、無側枝性

[担当]
長崎総農林試・野菜花き部・花き科

 [連絡先]0957-26-3330
 [区分]九州沖縄農業・野菜花き
 [分類]技術・普及
  

[背景・ねらい]
夏秋ギク「岩の白扇」は無側枝性ギクであるが、本県では7月上旬開花作型までは側枝が発生し、摘芽・摘蕾作業は省力とはならない。この無側枝性発現について、大分県では、午前10:00まで換気しないことによって早朝からの高温管理を行い、無側枝性を発現させようとしたが、無側枝性は発現せず、切り花品質が低下したと報告している。しかし、高温期に向かうにしたがって無側枝性が発現する特性を持っている以上、「岩の白扇」の無側枝性発現は、生育中の高温により影響を受けていると考えられる。そこで、終日肩換気を行い、蒸し込み管理ではなく自然な温度上昇という日中の高温処理によって切り花品質を低下させることなく無側枝性を発現できないか検討する。「肩換気による自然な温度上昇」という「高温管理技術」は、新たな投資を必要としない省力化技術確立を目標としており、研究の意義は大きい。

[成果の内容・特徴]
  1. 「岩の白扇」の6月開花作型では、慣行のサイド換気方法では日中の温度が最高温度でも摂氏30度以下という涼温管理となり、無側枝性は発現しない。肩換気のみを行うと、日中を高温で管理することができ、無側枝性が発現する(表1)。

  2. 肩換気では、日没から日の出までは慣行の換気方法と同水準の温度変化を示し、日中のみ慣行法より温度が上昇する「高温管理」となる。したがって、無側枝性発現は、日中の高温の影響が大きい(表2)。

  3. 日中を高温で管理しても切り花品質は低下しない(表3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 肩換気は、根群が十分発達する直挿し後30日より開始する。

  2. 発蕾以降は十分換気し、切り花品質の向上を図る。

[具体的データ]

表1 処理期間中の平均温度


表2 「岩の白扇」の6月開花における高温処理と無側枝性の発現


表3 「岩の白扇」の6月開花における高温処理と生育開花

[その他]
研究課題名:省力的な無側枝性ギクの生理・生態解明と安定生産技術の確立
予算区分 :助成試験(地域新技術)
研究期間 :1999〜2001年度

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