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メロンの隔離床栽培における一次及び二次ネット発生期の灌水量


[要約]
隔離床を利用したメロン「ベネチア初春」の促成栽培における灌水量は、一次ネット発生期に1日あたり2L/株、二次ネット発生期に1日あたり2〜3L/株を目安に行うことにより果重1.5kg以上で、ネットなどの外観がよく、糖度の高い果実が安定して得られる。

[キーワード]
隔離床、メロン、促成栽培、灌水量、ネット発生期

[担当]
長崎総農林試・野菜花き部・野菜科

 [連絡先]0957-26-3330
 [区分]九州沖縄農業・野菜花き
 [分類]技術・参考
  

[背景・ねらい]
長崎県におけるイチゴ高設栽培システムを用いたメロン栽培は、土づくりが不要で、地床栽培に比べて生育が早いため栽培期間の短縮が可能である。しかし、高品質・安定生産のための肥培管理、水分コントロールなどの栽培管理技術は未確立である。特に、土壌水分はメロン栽培の品質に大きな影響を及ぼすが、本栽培ではこれが慣行栽培と大きく異なる。このため、ここでは隔離床栽培における適正灌水量を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 一次ネット発生期(着果後6〜18日)における灌水量は、晴天時に1日当たり2L/株とすることにより、果実糖度(ブリックス)が内壁部は16.0以上、果肉中央部も13.8と高く、果形もほぼ球形の果実が安定して得られる(表1)。

  2. 二次ネット発生期(着果後20〜32日のネット、肥大完成期まで)における灌水量は、晴天時に1日当たり2〜3L/株程度行うことにより、果重1.5kg以上の安定した果実が得られる(表2)。

  3. 二次ネット発生期に1日当たり2〜3L/株程度の灌水を行っても裂果を起こす可能性は低く、むしろ初期から積極的に肥大を促進させることにより順調な果実肥大を進めることができる(表2表3)。

  4. 地床栽培と比べて果実硬化が早く進む傾向にあるため、肥大初期から積極的に肥大させるように心がけ、肥大促進時期の晴天日には毎日灌水を行う。

[成果の活用面・留意点]
  1. 灌水はドリップ式の灌水チューブなどで均一に灌水を行う。

  2. 隔離床では施設内が乾燥しやすいため、果実肥大時には通路への散水等を行い夜間〜午前中の湿度を高める必要がある。

  3. 地下水位の制御が難しい地域におけるメロンの高品質栽培に活用できる。

[具体的データ]

表1 一次ネット発生期の灌水量の違いと果実品質


表2 二次ネット発生期の灌水量の違いと果実品質


表3 二次ネット発生期の灌水量とネット


図1 二次ネット発生期における時間別土壌水分の推移

*耕種概要*

(1)供試品種ベネチア初春

(2)育苗播種平成12年1月12日鉢あげ1月17日定植2月24日

(3)栽植距離株間45cm200株/a(5.4m間口4ベット)

(4)隔離床の培土薩摩土65%、やしピート25%、バーク堆肥10%(22L/株)

(5)施肥量N-P2O5-K2O=2.4-2.4-2.4(kg/a)

(6)試験区の設定(一次ネット及び二次ネット発生期における灌水量)

(7)試験規模生育調査1区6株3反復、収穫調査1区10株3反復

[その他]
研究課題名:施設野菜の隔離床栽培による高品質化栽培と多収安定生産
予算区分 :県単
研究期間 :1999〜2002年度

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