無側枝性ギク「岩の白扇」の偏平花の発現に及ぼす気温低下の影響
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[要約]
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晩夏から秋季に多発する無側枝性キク「岩の白扇」の花が楕円形になる偏平花は、高温環境で生殖生長初期まで生育した以降に栽培温度が低下すると発生が増加する。
- [キーワード]
- キク、岩の白扇、偏平花、奇形花
- [担当]
- 九州沖縄農研・野菜花き研究部・花き研究室
[連絡先]0942-43-8271
[区分]九州沖縄農業・野菜花き、花き
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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摘芽、摘蕾の省力化から無側枝性キク「岩の白扇」の栽培が増加したが、8月中旬以降に採花する作型で花が楕円形になる奇形花(偏平花)が発生し、品質が低下する。偏平花の原因として、系統、苗の高温遭遇歴、栽培時の高温の影響等が明らかにされているが、気温が低下する8月以降に花芽分化する作型で発生が多いことから、高温時の気温低下の影響を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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消灯後1〜2週間まで摂氏35/25度(昼/夜)の高温に遭遇し、その後に低温(摂氏20/15度)に遭遇した個体に偏平花が多い。消灯前の1週間の高温付与では偏平花の発生は少ない(図1)。
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摂氏35/25度の高温下で長期生育した株は貫生花的な花形の奇形花になり、偏平花とは異なった様相を示す。低温継続区、あるいは電照終了時まで低温で栽培した後に高温に移動した株は偏平花化しない(図1)。
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摂氏30/20度の高温で栽培した個体は電照終了後の2〜3週間に低温(摂氏20/15度)遭遇すると偏平度が高くなる。摂氏30/20度では連続高温下でも偏平花が生じる(図2)。
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[成果の活用面・留意点]
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夏の高温後の温度低下が偏平花の発現の一因になることを把握したが、設定した高温の摂氏35/25度と摂氏30/20度では反応に差が生じているように、温度に対する反応は複雑である。
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夏期における花芽分化初期までの高温とその後の低温遭遇を避ける施設管理によって、偏平花化を低減する技術開発が期待される。
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[具体的データ]
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図1 偏平花の発現に及ぼす栽培気温の影響

図2 生殖成長期の高温と低温が偏平花の発現に及ぼす影響
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[その他]
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研究課題名:キクの省力化を可能とする無側枝性品種の生理・生態の解明と安定生産技術の確立
予算区分 :地域新技術型
研究期間 :1999〜2001年度
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