茶園でのチャノホコリダニの発生消長と防除法
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[要約]
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チャノホコリダニは、煎茶園、玉露園とも8月中下旬から発生がみられ、9月に急激に増加する。弧状仕立て茶園では、10月上中旬の整枝により、発生が著しく減少するので薬剤防除は不要である。自然仕立て茶園では、11月下旬まで発生がみられるため、発生初期の9月上旬頃の薬剤防除、12月の摘心が必要となる。
- [キーワード]
- チャノホコリダニ、茶園、仕立て法、発生消長、防除
- [担当]
- 福岡農総試八女分場・茶研究室
[連絡先]0943-42-0292
[区分]九州沖縄農業・茶業
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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近年、チャノホコリダニは、県内全域の茶園で多発し、茶葉が萎縮するといった被害が確認され問題となっている。そこで、チャノホコリダニの煎茶園、玉露園における発生消長及び防除時期について明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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チャノホコリダニは、弧状仕立て茶園では、8月中下旬頃から発生がみられはじめ、9月に急激に増加する。しかし、10月上中旬の整枝により被害葉とともに本種が除去されるため、発生が著しく減少し、薬剤防除が不要となる(図1)。
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5月以降整枝を行わない自然仕立て茶園では、本種は、8月中下旬頃から発生がみられはじめ、9月に急激に増加し、その後11月下旬まで発生がみられる(図1)。
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自然仕立て茶園では、本種の発生初期の9月上旬頃に薬剤防除を行うと、一番茶の母葉への被害を軽減することができる。また、上位展開葉の被害葉は、12月の摘心を行うことによって除去できる(図2、表1)。
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[成果の活用面・留意点]
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防除基準に掲載し、チャノホコリダニの効果的防除法として活用できる。
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煎茶園(弧状仕立て)のデータは、二番茶まで摘採したもので、三番茶まで摘採する体系では、新芽(翌年の一番茶の母葉)の生育期がチャノホコリダニの発生と一致するため、防除が必要である。
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本データは、八女分場における調査結果であり、地域により発生消長はやや異なる。
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[具体的データ]
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図1 栽培様式の異なる茶園におけるチャノホコリダニの発生消長(1998〜2000年)

図2 自然仕立て玉露園における秋期防除がチャノホコリダニの寄生虫数に及ぼすぼす影響(2000年)

表1 チャノホコリダニに対する薬剤防除による被害防止効果(2000年)
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[その他]
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研究課題名:チャノホコリダニの発生消長と防除法
予算区分 :県単
研究期間 :1998〜2000年度
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