茶園における小型乗用摘採機の使用法と作業能率
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[要約]
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茶の小型乗用摘採機による摘採走行速度は、一番茶は0.3m/秒、二番茶は0.4m/秒が適当である。オペレーターの労働負担は、摘採作業時の摘採袋交換と搬出作業では複数人で行う可搬型摘採機より大きいが、整枝作業は軽くなる。整枝作業を含めた年間作業の延べ時間は可搬型の1/3以下に省力化される。
- [キーワード]
- 茶、小型乗用摘採機、労働負担、省力化
- [担当]
- 長崎総農試・東彼杵茶業支場
[連絡先]0957-46-0033
[区分]九州沖縄農業・茶業
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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中山間地域での使用を目的に開発された小型乗用摘採機による摘採は、オペレータ-1人による作業となり、従来の可搬型摘採機による組作業より大幅な省力化が図られる。しかし、作業内容における使用法を作業の効率性、労働負担の面からは明らかにされていない。そこで、オペレーターが行う作業内容を調査し使用上の留意点を摘出する。また、年間の作業時間を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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小型乗用摘採機の摘採走行速度は、摘採精度、製茶品質評価、10aにおける作業時間から一番茶では0.3m/秒、二番茶では0.4m/秒が適当である(表1)。
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オペレーターにかかる労働負担は、小型乗用摘採機では摘採時の摘採袋交換作業および生葉搬出作業を1人で行うため、複数人で行う可搬型摘採機より大きいが、整枝作業時の労働負担は可搬型より軽い(表2)。
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摘採袋の交換時期は、一袋への収容量が約18kgに達する時であり、1回の袋換え作業に約1分50秒を要する(図1)。
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小型乗用摘採機は、一〜三番茶を摘採する茶園での年間作業時間が合計279分/10aで、従来の可搬型作業の実労働時間で65%、延べ作業時間で26%と大幅な省力化になる(表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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小型乗用摘採機(O社製OHL5型)は、平成12年九州農業研究成果情報(第15号下巻)に記載されている軽量型乗用摘採機の呼称を変更したものである。
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1回の摘採走行による生葉収容量は、小型乗用摘採機に摘採袋6個を積載できるので、18kg×6で約110kgである。
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袋の口まで収容すると袋換え作業が極端に長くなるので、かさばる生葉では重量より容積で交換時期を判断するとよい。
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可搬型作業の場合、摘採時の歩行速度は平均0.4m/秒である。
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[具体的データ]
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表1 摘採走行速度と摘採精度、製茶品質評価、10aの作業時間(1999年)

表2 作業内容別にみたオペレーターへの労働負担(2000年)

表3 小型乗用摘採機の年間作業体系(一〜三番茶摘採園)

図1 摘採袋への収容量と袋替えに要する時間
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[その他]
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研究課題名:中山間傾斜地茶園のテラス式整備法と省力・軽作業化技術の開発
予算区分 :助成試験(地域実用化)
研究期間 :1997〜2000年度
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