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茶樹ペーパーポット育苗用土の改良と土崩れ防止


[要約]
ペーパーポットを用いた茶苗木の育苗用土は、pH4.2〜4.5の土を用いるとさし穂の活着および生育が優れる。定植時のポット底の土崩れは、ポット底部に5cm角形ロックウールを詰めることで防止できる。また、ピートモスの混合によりポットの重量を軽くすることができ、運搬作業時の負担を軽減できる。

[キーワード]
茶苗木、ペーパーポット、育苗用土、角形ロックウール、ピートモス

[担当]
長崎総農試・東彼杵茶業支場

 [連絡先]0957-46-0033
 [区分]九州沖縄農業・茶業
 [分類]技術・普及 

[背景・ねらい]
ペーパーポットを利用して育苗した茶苗木は、定植圃場において活着がよく初期生育が旺盛である。しかし、短い育苗期間で優良な苗木を生産するには、最適な育苗用土の選抜、定植作業で問題となるポット底からの土崩れの防止および運搬作業で負担となるポット重量の軽減を行う必要がある。

[成果の内容・特徴]
  1. 育苗用水田土のpHは、4.2が5.5よりさし穂の活着が優れ、新葉の葉色が濃く、根重も重い(表1)。

  2. 育苗用土は、水田土にピートモスを容量比で3〜6割混合すると、pHが0.1〜0.5下がり活着率は水田土のみと同等かやや高くなる(表2)。

  3. 直径6.4cmのペーパーポットを用いる場合、定植時のポット底の土崩れは、ペーパーポットの底部に5cm角形ロックウールを詰めると防止できる(表2)。

  4. ポット重量は、5cm角形ロックウールを詰め、水田土とピートモスの混合用土を用いると水田土のみの場合の60%程度になる(表2)。

  5. ペーパーポット底部に5cm角形ロックウールを詰め、pH4.3の水田土を用いて育成した苗木は、定植時の土崩れによる根域拡大阻害を受けないため、株張りが速やかに大きくなり、一株あたりの枝数が多くなる(図1図2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 「やぶきた」を用いた夏挿しの成果である。

  2. 試験に用いたペーパーポットは、径6.4cm×深さ20cm、80ポット/1冊で無底である。

  3. 角形ロックウールを詰める作業時間は1冊当たり20分程度であり、詰めることでペーパーポットが自立し、用土を入れやすい。

  4. ピートモスは短粒、0.3kg/リットル、pH3.7を用いた。

  5. 育苗資材費は、1ポット当たり約30円程度である。

[具体的データ]

表1 育苗用土のpHと茶苗木の生育(1997年7月挿し、翌年3月調査)


表2 育苗用土の土崩れ、軽量化と茶苗木の生育(1999年7月挿し、翌年3月調査)


図1 定植後の株張りの推移(株の生育)


図2 定植2年目のせん枝量

[その他]
研究課題名:中山間傾斜地茶園のテラス式整備法と省力・軽作業化技術の開発
予算区分 :助成試験(地域実用化)
研究期間 :1997〜2000年度

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