水稲育苗箱利用によるチャのペーパーポット育苗
-
[要約]
-
水稲育苗箱を利用した深さ5cmのペーパーポット育苗法により、深さ15cmのペーパーポット苗と同等の苗が得られる。また使用するペーパーポットは、深さ5.0cm、幅4.0cm正方形ペーパーポットがよい。
- [キーワード]
- 水稲育苗箱、チャ、ペーパーポット、育苗
- [担当]
- 熊本県農業研究センター・茶業研究所
[連絡先]096-282-6851
[区分]九州沖縄農業・茶業
[分類]技術・普及
-
[背景・ねらい]
-
チャの育苗技術として、ペーパーポットを用いた方法が普及しつつある。しかし、従来の深さ15cmのペーパーポットを用いた方法は、1コンテナの重量が大きく、挿し木や定植時における運搬などの作業性の面で問題が残されている。そこで、作業労力の軽減を図るため、水稲育苗箱を利用し、ペーパーポット苗の軽量化を図る。
-
[成果の内容・特徴]
-
-
深さ5cmのペーパーポットは1コンテナの重量が15cmポットと比較し、1/3以下と軽いため、挿し木及び定植時の労力が軽減される(表1)。
-
深さ5cmのペーパーポットを用いても、深さ15cmのペーパーポットに劣らないチャ苗の生産ができる(表2)。
-
深さ5cmのペーパーポット苗は、幅4.0cm、4.7cm、5.6cmとも定植半年後の生育状況がほぼ同等であるため、1箱当たりの挿し木本数が多い幅4.0cm正方形が作業効率の点で有利である(表3、表4)。
-
[成果の活用面・留意点]
-
-
深さ5cmペーパーポットは土層が浅いため、育苗期間は6月挿しの9月定植、または9月挿しの翌年3月定植で行う。
-
育苗はビニル被覆法で行うが、水稲育苗箱使用のためほ場からペーパーポットへの水分供給が不足する場合があるので、挿し木後2ヶ月間は床土の乾燥度合いを見て2〜3回の潅水を行う。
-
育苗における経費は、既存の水稲育苗箱及びトンネル被覆資材を使用する場合、苗1本当たり、消耗品のみで2円、労働経費を含めて10円程度となる。
-
[具体的データ]
-

表1 深さ5cmポットと15cmポットの重量の比較

表2 定植後の生育量の比較

表3 ポット苗の定植前生育量及び生存率の比較(挿し木1本当たり乾物重)

表4 定植半年後の生育量の比較(平成13年3月29日定植、平成13年9月20日調査)
-
[その他]
-
研究課題名:ポット苗利用による生育促進効果
予算区分 :県単
研究期間 :1998〜2003年度
目次へ戻る