秋摘み茶の生産のための茶園管理及び製茶法
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[要約]
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三番茶を摘採しない茶園において、秋摘み茶を生産する場合は8月20日頃に、二番茶摘採面より+60mmの位置で整枝し、9月下旬〜10月上旬に摘採する。蒸し時間は色沢を重視し、蒸し胴通過を30〜60秒とすることで良質な秋摘み茶を生産することができる。
- [キーワード]
- 普通煎茶、茶園管理、製茶技術、秋摘み茶
- [担当]
- 熊本農研セ・球磨農研
[連絡先]0966-45-0470
[区分]九州沖縄農業・茶業
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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従来から秋芽は整枝による刈り捨てが多く、一部では秋番茶の生産は行われていたが、品質が悪く、低価格な荒茶として位置づけられていた。また、近年の荒茶価格の低迷、中国からの緑茶輸入増大により収益の減少が著しくなっている。そこで、秋摘み茶生産に適応した茶園管理及び製茶法を検討し、製茶機械の稼働率向上と収益の増大を図る。
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[成果の内容・特徴]
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三番茶を摘採しない園の二番茶摘採後の茶園管理は、三番茶の芽が完全に硬化する8月20日頃(二番茶摘採後の整枝日から平均気温積算で摂氏1400〜1500度の時期)に、秋整枝予定面より+10mmの位置で秋摘み用整枝を行う(図1)。
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秋摘み茶の摘採は9月下旬〜10月上旬(秋摘み用整枝日から平均気温積算で約摂氏1000度の時期)に摘採すると良質な秋摘み茶原葉を確保できる。
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秋整枝は秋摘み用整枝位置より10mmの位置で行うことにより、翌年の一番茶の生育・収量に影響がなく、十分な葉層が確保できる(図1、表1)。
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秋摘み茶に適した蒸し時間は、蒸し胴通過が30〜60秒程度であり、色沢を重視した蒸し程度とすることで荒茶品質が向上する(表2)。
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秋摘み茶を生産することで三番茶の収益減をカバーできるとともに製茶工場の稼働率が向上する(表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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「やぶきた」での試験データである。
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普通煎茶の秋芽用製茶技術として活用する。
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秋芽の萌芽期〜生育期に降水量が少ないと収量が減少するので、かん水等の対策を行い収量確保につとめる。
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秋芽の伸長が期待できない園には適用しない。
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[具体的データ]
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表1 秋摘み用整枝位置及び秋整枝位置と翌年の一番茶芽の生育・収量(平成11年)

表2 蒸し程度と製茶品質(平成11年)

表3 収益性のシミュレーション(10aあたり)(単位:円)

図1 秋摘みの模式図
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[その他]
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研究課題名:秋摘み茶生産体系の確立
予算区分 :県単
研究期間 :1999〜2001年度
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