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オオムギ網斑病菌による穂の発病と防除薬剤


[要約]
オオムギ網斑病菌により、大麦子実に褐色の病斑が形成される。出穂期にプロピコナゾール乳剤を散布することにより穂の発病を抑制できる。

[キーワード]
オオムギ網斑病、子実の病徴、防除薬剤、プロピコナゾール

[担当]
福岡農総試・病害虫部・普通作物病害虫研究室

 [連絡先]092-924-2938
 [区分]九州沖縄農業・病害虫
 [分類]技術・普及

[背景・ねらい]
オオムギ網斑病は発病すると茎葉に網状の葉枯れ症状を呈し,登熟後期には上位葉にも発生するが,穂に影響を与える病害としての重要性は明らかでなかった。しかし、本病が多発した圃場では穂に褐色斑を呈する子実が認められた。そこで、網斑病菌の子実への病原性を明らかにするとともに、茎葉散布剤の子実に対する防除効果を明らかにし、防除対策の資料とする。

[成果の内容・特徴]
  1. 子実の病徴:オオムギ網斑病菌により登熟期にぼうの付け根から子実の中央付近にかけて茶褐色で不定形の病斑を生じ、子実の全体に広がる(図1)。収穫後の子実は全体に茶褐色を呈するものが多く、子実の一部だけ茶褐色を呈するものも確認される(図2)。本病が茎葉に多発した圃場では子実の発病も多いが、少発生圃場ではほとんど発生しない。

  2. 分離菌株の病原性:穂から分離した菌株を用いて分生子を形成させ、出穂直後の穂に接種すると、5日後頃から病斑が形成される(図3)。また、葉に接種すると、褐色網目状の典型的な網斑病の病斑が形成される。葉から分離された網斑病菌による接種試験でも同様な病斑が形成される。

  3. 防除:出穂期にプロピコナゾール乳剤を散布すると穂の発病が抑制される(表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. プロピコナゾール乳剤はオオムギ網斑病に登録が取得された(平成13年5月31日付)。本剤は大麦の赤かび病、うどんこ病にも登録があり、これらも同時防除ができるが、収穫前規制が45日、使用回数は1回なので散布時期に注意する。

  2. 網斑病菌による被害粒はアントシアンによる着色粒と類似しているので注意する。

  3. 茎葉に発生した本病に対してもプロピコナゾール乳剤の防除効果は高い(九州沖縄研究成果情報第16号参照)。

[具体的データ]

図1 登熟期の病徴


図2 収穫後の子実の病徴


図3 接種後の穂の病徴


表1 オオムギ網斑病に対する薬剤防除効果

[その他]
研究課題名:新防除資材による病害虫制御技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2000年度

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