促成栽培イチゴにおけるハダニ類の天敵チリカブリダニの利用方法
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[要約]
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促成栽培イチゴにおいて、捕食性天敵のチリカブリダニを10月下旬〜11月上旬、11月下旬〜12月上旬および1月下旬〜2月上旬の3回、1回につき10a当たり2,000頭を放飼することで、ハダニ類の発生を4月まで低く抑制することができる。
- [キーワード]
- 促成栽培イチゴ、生物的防除法、チリカブリダニ、ハダニ類
- [担当]
- 福岡農総試・病害虫部・野菜花き病害虫研究室
[連絡先]092-924-2938
[区分]九州沖縄農業・病害虫
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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近年、安全な農作物に対する需要が高まるとともに、薬剤抵抗性害虫や耐性菌の出現により、農薬に依存した従来の防除方法の見直しが求められている。そこで、促成栽培イチゴでの生物的防除資材を利用した総合的病害虫防除技術を確立する一環として、ハダニ類の捕食性天敵チリカブリダニの有効な利用方法を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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チリカブリダニを10月下旬、11月下旬および2月上旬に、1回につき2,000頭/10a放飼すると、ハダニ類の密度と被害を4月まで低く抑制することができる(表1、表2、表3の下2段)。
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チリカブリダニを2月上旬から2〜3回、1回につき2,000頭/10a放飼した場合、ハダニ類に対する密度抑制効果は低い(表1、表2、表3の上2段)。
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[成果の活用面・留意点]
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本成果をもとに作成した「促成栽培イチゴにおけるチリカブリダニの利用マニュアル」を普及現場で指導資料として利用できる。
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チリカブリダニを利用する場合には、本天敵に影響の少ない農薬を組み合わせる。
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5月まで収穫する作型では、2月下旬〜3月上旬にチリカブリダニを追加放飼する。
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チリカブリダニの3回放飼のコストは約18,000円である。
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[具体的データ]
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表1 現地圃場でのハダニ類に対する防除実績(筑後市)

表2 チリカブリダニの放飼圃場におけるハダニ類の密度推移

表3 チリカブリダニの放飼圃場におけるハダニ類による被害の推移
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[その他]
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研究課題名:天敵昆虫類を利用した総合的害虫防除実用化技術の開発
予算区分 :県特
研究期間 :1999〜2002年度
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