チオファネートメチル耐性タマネギ灰色腐敗病菌の発生と防除薬剤
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[要約]
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チオファネートメチル耐性タマネギ灰色腐敗病菌の発生が佐賀県内の現地圃場で認められ、分離菌株の20〜60%を占めた。本剤耐性菌に対し他系統薬剤であるイプロジオン水和剤は高い効果を示す。
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- タマネギ、灰色腐敗病、チオファネートメチル、耐性菌
- [担当]
- 佐賀農業セ・土壌環境部・病害虫農薬研究室
[連絡先]0952-45-2141
[区分]九州沖縄農業・病害虫
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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近年、佐賀県内でタマネギ灰色腐敗病の発生が目立っている。また、兵庫県において2000年に、本病の主要防除薬剤であるチオファネートメチル剤に対する耐性菌がはじめて確認された。そこで、佐賀県内のタマネギほ場から分離した本病原菌のチオファネートメチル感受性について実態を把握し、防除対策を確立する。
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[成果の内容・特徴]
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佐賀県内の産地からタマネギ灰色腐敗病菌を採集し、チオファネートメチルに対する感受性を2000年および2001年に検定を行った結果、1,600μg/mlを越える高度耐性菌が、それぞれ6菌株ずつ(菌株率;60%および20%)認められ、本剤耐性菌の存在が明らかとなった(表1)。
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チオファネートメチル耐性菌は、他系統の薬剤であるイプロジオン、フルアジナム、フジオキソニルおよびイミノクタジンアルベシル酢酸塩に対し感受性が高い(表2)。
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チオファネートメチル耐性菌が存在する圃場においては、チオファメートメチル水和剤の防除効果が低下する。しかし、他系統の薬剤であるイプロジオン水和剤は高い防除効果を示す(表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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タマネギ栽培地帯でタマネギ灰色腐敗病発生圃場に適用できる。
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フジオキソニル水和剤、イミノクタジンアルベシル酢酸塩水和剤は、灰色腐敗病に対し未登録である。
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[具体的データ]
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表1 チオファネートメチルに対するタマネギ灰色腐敗病菌の感受性の分布

表2 タマネギ灰色腐敗病菌(2000年分離菌)の各種薬剤に対する感受性

表3 タマネギ灰色腐敗病に対する防除効果
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[その他]
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研究課題名:発生予察事業(薬剤耐性菌検定)
予算区分 :国庫
研究期間 :2000〜2001年
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