Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成13年度目次

ナシ白紋羽病発病樹に対するフルアジナムフロアブル灌注処理の有効性と根接ぎの併用による樹勢回復効果


[要約]
ナシ白紋羽病発病樹に対してフルアジナムフロアブル500倍液を用いると、灌注処理のみで病患部除去を併用する場合と同等の防除効果が得られ、労力軽減を図ることができる。また、中〜重症樹に対しては根接ぎの併用が有効である。

[キーワード]
ナシ、白紋羽病、フルアジナム、灌注処理、労力軽減、根接ぎ

[担当]
佐賀果樹試・病害虫研

 [連絡先]0952-73-2275
 [区分]九州沖縄農業・病害虫
 [分類]技術・普及

[背景・ねらい]
ナシ白紋羽病に対して土壌中で既存の薬剤に比べて長期間残効を保持するフルアジナムフロアブル灌注処理の防除効果を明らかにし、防除に要する労力軽減を図る。また、中〜重症樹に対する根接ぎ処理の有効性を明らかにし樹勢回復を図る。

[成果の内容・特徴]
  1. 白紋羽病発病樹に対してフルアジナムフロアブル500倍液を用いると、灌注器による灌注処理のみで重労働の病患部除去を併用した場合と同等の防除効果が得られる。灌注処理に要する時間は約20分/人であり、病患部除去を併用した場合の約1/4の時間ですむ(表1)。

  2. 重症樹に対して根接ぎ処理を行うと被害根を更新できるため、樹勢の早期回復が可能となる(表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 処理量の目安は成木で約100リットル、2〜4年生の幼木で約50リットルであり、樹の周囲半径約1mの範囲内にむらなく処理する。ただし、過乾燥の土壌や土層の深い園地では1.5〜2倍程度の薬液が必要である。

  2. 本剤の発病部位における治療効果は期待できないので、できる限り軽症のうちに処理する。

  3. 樹勢強化や根接ぎの際に堆肥を施用する場合は、樹の周囲半径0.5〜1m付近にスポット状に堆積する。土壌中に混入すると防除効果が低下する。

  4. 土壌中において約2年間の残効が期待できるので、処理後約2年を再処理時期の目安とする。ナシ枝を樹の周囲に数カ所に挿しておくと菌の付着の有無で薬効が保持されているかどうかを簡易に判別できる。

[具体的データ]

表1 ナシ白紋羽病発病樹に対するフルアジナムフロアブル灌注処理の有効性a)


表2 ナシ白紋羽病発病樹に対する根接ぎとフルアジナムフロアブル灌注処理との併用による樹勢回復効果a)

[その他]
研究課題名:ナシ白紋羽病の効率的防除技術の開発
予算区分 :国庫(難防除)
研究期間 :1995〜2000年度

目次へ戻る