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施設内のクロルピクリンくん蒸剤マルチ畦内処理によるメロン黒点根腐病の防除


[要約]
施設内において畦立て、クロルピクリンくん蒸剤注入、マルチを同時に行うマルチ畦内同時消毒機による防除は、夏季および冬季ともメロン黒点根腐病に対して臭化メチル剤と同等の防除効果を示す。また、大幅な作業の省力化、作業時の安全性が確保できる。

[キーワード]
マルチ畦内同時消毒機、メロン黒点根腐病、作業の省力化、安全性

[担当]
宮崎総農試・環境部・病理科

 [連絡先]0985-73-2124
 [区分]九州沖縄農業・病害虫]
 [分類]技術・普及

[背景・ねらい]
クロルピクリン剤は2005年全廃される臭化メチルの代替剤として施設野菜を中心とした土壌消毒に大きな期待が寄せられている。しかしながら、防毒マスクを付けての土壌灌注機による処理では作業の効率性や刺激臭に対しての安全性および冬季処理で消毒に要する期間が長いことが問題に上げられてきた。そこで、施設内において畦立て、クロルピクリンくん蒸剤注入、マルチを同時に行うマルチ畦内同時消毒機を利用したときのメロン黒点根腐病の防除効果、作業性および冬季処理においては加温した場合の消毒期間を検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. マルチ畦内処理機による消毒は畦の部分のみの消毒であるが、秋冬作及び冬春作ともメロン収穫時の株の萎凋及び根の褐変が低く抑えられており、臭化メチル剤と同等にメロン黒点根腐病に対する防除効果は高い(表1)。

  2. 作業全体を通してマルチ畦内同時消毒機使用によるクロルピクリン剤の刺激臭はなく、作業上の支障はない。

  3. 夏季の消毒期間(8月下旬)には1週間後、冬季(1月下旬)は、温風機を稼働させ、ハウス内温度を摂氏25度以上に保つことで処理2週間後には畦の中央地下15cmにおけるクロルピクリンガス濃度の反応はなくなる(図1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. マルチ畦内同時消毒機による畦立て、クロルピクリン注入、マルチを同時に行うことは作業の大幅な省力化につながる。また、マルチフィルムとくん蒸用シートが兼用できるので、資材費の削減につながる。

  2. マルチ畦内同時消毒機での作業が困難な畦の最後の部分については、テープ剤または錠剤による代用消毒が適している。

  3. ガス抜きのための土壌混和を行わないので、土壌の再汚染の可能性が低くなる。

  4. 大規模なハウスでの処理では、処理作業に時間がかかると刺激臭を感じることがあるので留意する。

  5. 冬季の加温条件下におけるガス抜きに要する期間は土壌条件や地域の気象条件によって差があるので留意する。

  6. 残さがまだ分解しきれていない段階で消毒を行うと、防除効果が低くなる可能性があるので、処理前には残さを除去する。

[具体的データ]

表1 メロン地上部の萎凋および根部褐変の発生状況


図1 クロルピクリン剤のマルチ畦内処理後の土壌中ガス濃度の推移(地下15cm)

[その他]
研究課題名:臭化メチル代替技術確立事業
予算区分 :国庫
研究期間 :2000〜2002年度

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