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促成ナスにおける天敵と農薬を組み合わせたミナミキイロアザミウマの防除体系


[要約]
1mm目の防虫ネットと天敵(秋期にククメリスカブリダニ4回と春季にタイリクヒメハナカメムシ2回放飼)及び化学農薬を組み合わせた体系によって、ミナミキイロアザミウマの生息数を実害が生じない低い密度に6月中旬まで抑える。化学農薬の使用回数を化学農薬のみの防除に比べ約50%削減できる。

[キーワード]
促成ナス、ミナミキイロアザミウマ、天敵、ククメリスカブリダニ、タイリクヒメハナカメムシ

[担当]
佐賀農業セ・土壌環境部・病害虫農薬研究室

 [連絡先]0952-45-2141
 [区分]九州沖縄農業・病害虫
 [分類]技術・参考

[背景・ねらい]
近年、佐賀県の施設促成栽培ナスにおいて、交配作業の省力化のため春先からマルハナバチを導入する事例が増加している。しかし、本蜂を用いた場合、使用可能な化学農薬が限られており、被害が大きいミナミアザミウマの対策に苦慮している。そこで、ミナミキイロアザミウマの天敵であるククメリスカブリダニとタイリクヒメハナカメムシを用いた防除体系の効果とミナミキイロアザミウマを対象とした化学農薬(以下化学農薬)の散布回数の低減の可能性を検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. 施設ナスでは、1mm目の防虫ネットと天敵(秋期にククメリスカブリダニ100頭/株の4回と春期にタイリクヒメハナカメムシ2頭/株の2回放飼)及び化学農薬を組み合わせた体系は3月以降化学農薬の散布を必要としない(表1図1)。

  2. 天敵と化学農薬を組み合わせた体系はミナミキイロアザミウマの寄生密度を12月上旬から6月中旬まで20頭/100葉以下の低い密度に抑制する(図1)。

  3. 果実の被害は11月下旬から6月中旬までほとんどなく優れた効果がみられる(図2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 3月以降にマルハナバチを利用する促成ナスに活用できる。

  2. 天敵類放飼はミナミキイロアザミウマの密度を低くして(0.1頭/葉)行う。

  3. 天敵類の放飼は放飼密度を守る。

  4. 化学農薬は天敵の放飼前に使用し、ククメリスカブリダニの放飼前後にはイミダクロプリド水和剤、アセタミプリド水和剤等ククメリスカブリダニに影響の少ない農薬を、タイリクヒメハナカメムシの放飼前後にはクロルフェナピルフロアブルを、また、タイリクヒメハナカメムシとマルハナバチ放虫後にミナミキイロアザミウマの密度が高くなった場合にはピリプロキシフェン乳剤を散布する。

[具体的データ]

表1 アザミウマ類を対象とした天敵と化学農薬の散布(処理)回数の比較


図1 ナス葉に寄生するアザミウマ類成幼虫数の推移


図2 アザミウマ類による被害果率の推移

[その他]
研究課題名:天敵類を利用した果菜類の害虫防除体系
予算区分 :国庫補助(総合的病害虫管理推進事業)
研究期間 :2001〜2003年度

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