温州ミカン「原口早生」におけるミカンハダニの被害許容水準
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[要約]
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温州ミカン「原口早生」においてミカンハダニの寄生密度を年間を通して1葉当たり3頭以下に抑えると、主幹の肥大や枝葉の生育への影響はなく、果実品質及び収量への影響もない。
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- 病害虫、作物虫害、ミカンハダニ、被害許容水準、温州ミカン
- [担当]
- 長崎県果樹試験場・病害虫科
[連絡先]0957-55-8740
[区分]九州沖縄農業・病害虫
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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近年、温州ミカンでは高品質果実の省力・低コスト生産が望まれている。ミカンハダニは温州ミカンの重要害虫で、加害により早期落葉や生育抑制、品質への悪影響が生じると考えられていることから年間の防除回数も多い。そこでミカンハダニ防除の省力化を図るため早生系温州ミカンにおけるハダニの被害許容水準を明らかにする。
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[成果の内容・特徴]
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温州ミカン「原口早生」2年生においてミカンハダニの寄生密度を年間を通して1葉当たり3頭以下に抑えると、主幹の肥大や枝葉の生育への影響はない(表1)。
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1葉当たり5頭以下に抑えた場合、主幹の肥大や葉数、枝数への影響はないが、葉面積が小さくなる(表1)。
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温州ミカン「原口早生」12年生においてミカンハダニの寄生密度を年間を通して1葉当たり3頭以下に抑えると、果実糖度、酸含量への影響はない。また、1樹当たりの収量、果実数への影響もない(表2、表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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品種「原口早生」での成果であり、異なる品種及び施肥管理では被害も異なるので注意する。
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3年間の成果であり、ハダニの加害期間がそれ以上長期におよんだ場合及びハダニの寄生密度が1葉当たり3頭以上で推移した場合の被害が明らかでない。
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[具体的データ]
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表1 ミカンハダニの寄生密度と温州ミカンの生育

表2 ミカンハダニの寄生密度と温州ミカンの果実品質

表3 ミカンハダニの寄生密度と温州ミカンの収量
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[その他]
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研究課題名:温州ミカンの少資材・低樹高を基幹とした品質保証果実生産技術の開発
予算区分 :国庫(地域基幹)
研究期間 :1999〜2001年度
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