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レンゲ萎縮ウイルス(MDV)によるソラマメ萎黄病の多発事例


[要約]
1999年10月から2000年1月に県内のソラマメ産地に多発した黄化萎縮症状の主因はMDVによるソラマメ萎黄病である。

[キーワード]
ソラマメ、黄化萎縮症状、レンゲ萎縮ウイルス、萎黄病

[担当]
鹿児島農試・病虫部、京都工繊大学・応用生物学科、旧農研センター・ウイルス病診断研究室

 [連絡先]099-268-3231
 [区分]九州沖縄農業・病害虫
 [分類]技術・参考

[背景・ねらい]
1999年10月下旬以降,県内のソラマメの主産地である指宿市,阿久根市などで黄化萎縮症状が多発し,発生圃場の中には発生株率が90%以上のところもみられ,大きな問題となった。そこで、この原因を解明し、今後の防除対策に資する。

[成果の内容・特徴]
  1. 1999年10月から2000年1月にソラマメの先端部葉および下位節の腋芽がやや黄化して細く,奇形となり,葉先には黒褐変枯死も認められ,株全体がわい化する症状が発生した。この症状は従来から発生しているインゲンマメ黄斑モザイクウイルス(BYMV)によるのものとは明らかに異なるものである。

  2. この症状は指宿市の南部及び中央地区を中心に多発生し(表1),阿久根市,山川町など他の産地では一部発生の多い圃場もみられたが、全体的には発生が少なかった。

  3. 指宿市,鹿児島市,山川町の標本からはMDVが20株中16株が検出され,ダイズわい化ウイルス(SDV)は検出されなかった(表2)。また,阿久根市の類似症状6株はMDV単独感染が1株,BYMV単独感染が2株,MDVとBYMV混合感染が1株であった(表3)。

  4. 以上のことから、今回多発したソラマメの黄化萎縮症状の主因はMDVによるソラマメ萎黄病であると考えられる。ソラマメでのMDVの発生は九州では初めてである。

[成果の活用面・留意点]
  1. MDVはアブラムシ類により伝搬されるので,シルバーマルチによるアブラムシ類の飛来防止を行い,その後の防除を徹底する。

  2. 発病株は直ちに抜き取る。

[具体的データ]

表1 指宿市における発生状況(JA現地調査,1999年12月現在)


表2 指宿市,山川町におけるソラマメ黄化萎縮症状のウイルス検定1)結果


表3 阿久根市におけるソラマメ黄化萎縮症状のウイルス検定1)結果

[その他]
研究課題名:病害虫診断依頼調査
予算区分 :県単
研究期間 :1999年度

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