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イミダクロプリド箱粒剤とフィプロニル粒剤の同時処理による水稲主要害虫に対する防除効果


[要約]
イミダクロプリド箱粒剤とフィプロニル粒剤を苗箱施用時に同時に処理する方法は、両薬剤の欠点を補いツマグロヨコバイ、ウンカ類、コブノメイガなどの水稲初期の主要害虫に対して高い防除効果を示す。

[キーワード]
イミダクロプリド箱粒剤、フィプロニル粒剤、同時処理、ツマグロヨコバイ、コブノメイガ

[担当]
鹿児島農試・病虫部

 [連絡先]099-268-3231
 [区分]九州沖縄農業・病害虫
 [分類]技術・参考

[背景・ねらい]
鹿児島県の普通期水稲ではコブノメイガの被害を重要視することから苗箱処理剤としてフィプロニル粒剤かその混合剤が広く普及している。しかし、フィプロニル粒剤はツマグロヨコバイに対して効果が低いため、近年、その発生が増加している(図1)。そのため本虫が媒介する黄萎病、萎縮病の発生増加が懸念されている。そこでフィプロニル粒剤のこの欠点を補うため、コブノメイガには効果が低いがツマグロヨコバイに効果が高いイミダクロプリド箱粒剤を苗箱施用時に同時処理することによる水稲主要害虫に対する防除効果を検討した。

[成果の内容・特徴]
  1. イミダクロプリド箱粒剤の標準処理量の半量である25gとフィプロニル粒剤50gを同時に処理することでツマグロヨコバイ、ウンカ類、コブノメイガに対して高い防除効果が認められる(図2図3図4)。また、薬害も認められなかった。

  2. フィプロニル粒剤を25gにした場合、コブノメイガに対して充分な効果が得られないことから同時処理する際のフィプロニル粒剤の使用量は50gが適当である(図4)。

  3. 刈り取り後の再生芽における黄萎病の発生調査では、イミダクロプリド箱粒剤とフィプロニル粒剤を同時処理した区は、無処理区およびフィプロニル粒剤単独区に比べ発生が少なかった(表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 苗箱での薬剤処理作業が2回と煩雑になることやコストの問題もあるが、早期水稲との混作地帯やツマグロヨコバイの常発地では有効である。

[具体的データ]

図1 年次別箱処理剤使用面積とツマグロヨコバイの発生圃場率


図2 ツマグロヨコバイに対する防除効果(1999年)


図3 セジロウンカに対する防除効果(1999年)


図4 コブノメイガに対する防除効果(1999年7月22日)


表1 刈り取り後の再生芽における黄萎病発生の違い(発病株率、%)

[その他]
研究課題名:水稲主要病害虫の効率的防除技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :1999〜2000年度

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