光反射シートによる果樹カメムシ類のカンキツ果実吸汁阻害効果
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[要約]
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温州ミカン園に光反射シートを全面被覆した場合、多発時においても果樹カメムシ類成虫による果実表面の唾液鞘数と果皮内側の吸汁痕数が大幅に減少する。したがって、本シートを吸汁害抑制の物理的手段として利用できる可能性が大きい。
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- 光反射シート、果樹カメムシ、唾液鞘、吸汁痕、カンキツ
- [担当]
- 果樹研・カンキツ研究部口之津・虫害研究室
[連絡先]0957-86-2306
[区分]九州沖縄農業・病害虫
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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果樹カメムシ類(チャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシ)は典型的な飛来性害虫であり、果樹園外の発生源から飛来した成虫が各種果実を吸汁加害して大きな被害を与える。カンキツ園における果樹カメムシ類の被害防止法としては、農薬散布以外に実用的な防除手段がないことから、代替手段の開発が望まれている。そこで飛来性害虫であるチャノキイロアザミウマに対し顕著な被害抑制効果を示す光反射シートについて、果樹カメムシ類に対する被害防止効果を調査する。
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[成果の内容・特徴]
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光反射シート(タイベックソフト700AG)を全面被覆した区では、果樹カメムシ類の多飛来時においても成虫が温州ミカンの果実表面に形成する唾液鞘数は少なく、平均値では無被覆区の3分の1以下となる(表1)。
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光反射シートを全面被覆した区では、果樹カメムシ類成虫が果皮を貫通して形成する果皮内側の吸汁痕数はごく少なく、平均値では無被覆区の8分の1〜20分の1となる(表1)。
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光反射シートを全面被覆した区では無被覆区に比べて、唾液鞘数が同程度であっても果皮内側の吸汁痕数は少ない傾向がある(図1)。
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光反射シートは、果樹カメムシ類の吸汁行動に対して抑制効果を有すると考えられる。
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[成果の活用面・留意点]
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実用化のために、樹冠占有面積の大きい園地や夜間飛来時期における抑制効果を調査検討する必要がある。
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[具体的データ]
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表1 光反射シートの被覆が温州ミカンに対する果樹カメムシ類の吸汁に及ぼす影響

図1 温州ミカン果皮表面の唾液鞘数と果皮内側の吸汁痕数の関係
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[その他]
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研究課題名:カンキツの病害虫防除技術の体系化と実証
予算区分 :プロジェクト(IPM)
研究期間 :1999〜2001年度
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