九州沖縄のかんしょ産地におけるサツマイモネコブセンチュウレースの分布
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[要約]
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中南部九州・沖縄のかんしょ産地には7レースが分布する。分布の特徴は、熊本県ではSP1が81%、宮崎県ではSP2が71%、鹿児島県大隅、薩摩半島ではSP2が95%、沖縄県ではSP4が55%を占める。その他のレースは各地に散発的に分布する。
- [キーワード」
- サツマイモネコブセンチュウ、かんしょ、レース分布、品種抵抗性
- [担当]
- 九州沖縄農研・地域基盤研究部・線虫制御研究室
[連絡先]096-242-77349
[区分]九州沖縄農業・病害虫
[分類]科学・普及
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[背景・ねらい]
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サツマイモネコブセンチュウは、九州・沖縄地域の主要畑作物、かんしょの最重要線虫である。線虫抵抗性品種の育成や適切な栽培、線虫密度抑制に有効な作付け体系の開発を図るために、レースの発生とそれらの地域内における分布を明確にする。
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[成果の内容・特徴]
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中南部九州、沖縄県には、レース判別品種である「農林1号」、「農林2号」、「エレガントサマー」、「種子島紫7」および「ジェイレッド」での増殖率が異なる7レースが存在し、地域によって特異的に分布している。これらの内、SP1とSP2が広く分布する(表1および表2)。
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熊本県では、SP1が81%を占め、その他、SP2、SP3およびSP6が局地的に分布する(表2)。
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宮崎県では、SP2が72%を占め、その他、SP1とSP6が局地的に分布する(表2)。
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鹿児島県は大隅、薩摩半島ではSP2が95%、他の島嶼部ではSP3以外のレースが局地的に分布する(表2)。
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沖縄県では、SP4が55%を占め、その他にSP3以外のレースが局地的に分布する(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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かんしょのサツマイモネコブセンチュウ抵抗性の遺伝解析、抵抗性育種の参考になる。
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線虫害回避のための抵抗性品種の栽培や線虫密度抑制に有効な作付け体系の開発に役立つ。
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レース判別は増殖率に基づくもので、各レースがかんしょの収量や品質に及ぼす影響は別途検討する必要がある。
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[具体的データ]
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表1 かんしょにおけるサツマイモネコブセンチュウレース判別表

表2 九州沖縄のかんしょ産地におけるサツマイモネコブセンチュウレースの地理的分布
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[その他]
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研究課題名:かんしょの有害線虫の環境保全型総合防除技術の開発-南九州の主要線虫レースとそれらに対するかんしょ等の抵抗性評価
予算区分 :21世紀プロ
研究期間 :1999〜2001年度
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