イチジク株枯病菌を媒介するアイノキクイムシの分散時期と各種薬剤の殺虫効果
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[要約]
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イチジク株枯病菌を媒介するアイノキクイムシ成虫は、4月上旬と7月中旬〜8月下旬の2回、移動分散する。本種には有機リン系の殺虫剤であるMEP水和剤やDMTP水和剤が有効である。
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- イチジク株枯病、虫媒伝染、アイノキクイムシ、薬剤防除
- [担当]
- 福岡農総試・病害虫部・果樹病害虫研究室
[連絡先]092-924-2938
[区分]九州沖縄農業・病害虫
[分類]科学・参考
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[背景・ねらい]
- これまでの研究により、アイノキクイムシ(Xyleborus interjectus)がイチジク株枯病菌を媒介していることが明らかとなっている。しかし、本種の発生生態や防除法に関する知見は乏しい。そこで、防除適期と考えられる移動分散時期を明らかにするとともに、本種に有効な薬剤を探索し、防除対策を確立するための基礎資料とする。
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[成果の内容・特徴]
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アイノキクイムシは、他の養菌キクイムシ類と同様、4月上旬と7月中旬〜8月下旬の2回、移動分散する(図1)。
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イチジク枝の輪切りスライス(直径約40mm、厚さ10mm)を所定濃度の薬液に30秒間浸積後、風乾し、このスライス上にアイノキクイムシ成虫を放飼する試験では、有機リン系の殺虫剤であるMEP水和剤やDMTP水和剤の殺虫効果が高い。しかし、ペルメトリン乳剤やアセタミプリド水溶剤の効果は低い(表1)。
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[成果の活用面・留意点]
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アイノキクイムシの防除時期を決定するための基礎資料として活用できる。
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アイノキクイムシに対する有効薬剤を選定する際の基礎資料として活用できる。
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[具体的データ]
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図1 イチジク切り枝へのアイノキクイムシ成虫の穿孔虫数

表1 アイノキクイムシに対する各種薬剤の殺虫効果
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[その他]
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研究課題名:イチジク株枯病の主要な伝染法の解明と防除法の確立
予算区分 :県単
研究期間 :1996〜2000年度
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