Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成13年度目次

ご質問・ご意見・ご要望はこちら

マンゴーハフクレタマバエ(新称)Procontarinia sp.の加害様式と生息分布


[要約]
マンゴーの新害虫、マンゴーハフクレタマバエ(新称)の被害痕は、直径約2〜3mmのほぼ円形で揃っていることから他の類似病斑と判別できる。本種は、県内にすでに広く分布することが確認された。

[キーワード]
マンゴー、新害虫、マンゴーハフクレタマバエ、判別、分布

[担当]
沖縄県農試・病虫部・害虫研究室

 [連絡先]098-884-9907
 [区分]九州沖縄農業・病害虫
 [分類]科学・参考

[背景・ねらい]
新たに発生が確認されたマンゴー害虫、マンゴーハフクレタマバエ(新称)の被害と他の類似病害との判別法を確立し、それを用いて、本県における現在の本虫の生息分布を把握し、今後の防除対策等の基礎資料とする。

[成果の内容・特徴]
  1. 2000年11月9日、玉城村堀川のマンゴーハウスから、新梢を加害する双翅目が発見された。種の同定を湯川淳一九州大学教授に依頼した結果、国内初記録のマンゴーハフクレタマバエ(新称)Procontarinia sp.であることが判明した(図1)。

  2. 本種幼虫による被害部位は、2000年12月末までの調査において、新梢部全体で確認された(図2)。被害が甚だしい場合、新梢および新葉全体が縮れあがり、腐敗したように黒褐色に変色して枯死した。熟枝および成葉では寄生は観察されなかった。

  3. 本種幼虫による新葉の寄生痕は、水浸状〜黒褐色を呈し、表面が平らな直径2〜3mmの円形で揃っていることから、大きさや形状が不揃いであるかいよう病や炭疽病の病斑と容易に区別がつく(図3)。新葉(葉軸長12.5cm)1枚当たりの最大寄生数は732個であった。

  4. 被害の程度は、枝の剪定など、栽培管理が不十分な園で甚だしく、管理が行き届いている園では軽微であった。

  5. 本種の分布は、2001年1月末時点、沖縄島(金武町、宜野座村、嘉手納町、与那城村、沖縄市、嘉手納町、北中城村、中城村、宜野湾市、那覇市、豊見城村、糸満市、具志頭村、東風平町、玉城村、佐敷町、南風原町)、宮古島(平良市)、来間島、石垣島、西表島、与那国島から確認され、すでに県内に広く分布することが判明した。

[成果の活用面・留意点]
  1. 本種の加害様式についてのパンフレットを作成し、農家および農業関係団体への啓蒙に努めるとともに、防除対策をたてる際の基礎資料として活用する。

[具体的データ]

図1 マンゴーハフクレタマバエ(新称)の成虫(左)、蛹(中央)、および幼虫(右)


図2 マンゴーハフクレタマバエ(新称)に加害されたマンゴー新称部(A,B)および新葉(C,D)


図3 マンゴーハフクレタマバエ(新称)の食痕(左)とかいよう病(中央)および炭疽病の病斑(右)

[その他]
研究課題名:マンゴー果実害虫の発生生態の解明と防除法の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2000年度

目次へ戻る