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肥効調節型肥料による露地ウンシュウミカンの年1回施肥法


[要約]
露地栽培のウンシュウミカン「白川」では、夏重点溶出型の肥効調節型肥料を用いた11月上旬の年1回施肥における収量及び果実品質は、有機配合肥料を用いた慣行の年3回施肥と同等で、施肥の省力化と窒素施用量の20〜30%削減が可能となる。

[キーワード]
ウンシュウミカン、露地栽培、肥効調節型肥料、環境負荷低減、省力化

[担当]
熊本農研セ・果樹研・病虫化学部

 [連絡先]0964-32-1723
 [区分]九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)、果樹
  分類]技術・普及 

[背景・ねらい]
ウンシュウミカン栽培において、地下水の硝酸性窒素負荷や農業の担い手の高齢化等の問題に対応するため、収量、果実品質を確保しながら、環境負荷を軽減するとともに、省力的な施肥法の確立が必要である。そこで、ウンシュウミカンに対する最も合理的な施肥法を解明するため、溶出タイプを異にする肥効調節型肥料を用いて、収量、果実品質に及ぼす効果を調査し、年1回施肥法を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. 収量は、肥効調節型肥料の7割量施用では年により傾向が異なるが、累計収量は対照区(累計収量指数100)、夏重点溶出型区(100)がやや多く、次いで均等溶出型区(94)、春秋重点溶出型区(92)の順である。春秋重点溶出型区は隔年結果の傾向が他の区より大きい(図1)。

  2. 果実の糖度は、夏重点溶出型の肥効調節型肥料7割量を施用した区は有機配合肥料の対照区より高い(図2)。

  3. 果皮の着色は、春秋重点溶出型の肥効調節型肥料7割量を施用した区が有機配合肥料の対照区より優れる傾向にある(図3)。

  4. 葉中窒素濃度の年次変化(9月)は、有機配合肥料の対照区で年次変化が大きく、1997年、1998年、1999年では夏重点溶出型の肥効調節型肥料7割量を施用した区が有機配合肥料の対照区より高い(図4)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 普通ウンシュウミカン栽培に適用する。

  2. 肥効調節型肥料は地温に窒素の溶出速度が強く影響されるので、11月上旬施用の時期を厳守する。施肥時期を逸した場合は、肥効調節型肥料ではなく有機配合肥料を施用する。

  3. 肥効調節型肥料施用の場合の土壌条件は問わないが、土壌が過乾のときは窒素の溶出やその根群域への浸透が遅れるおそれがあるので注意する。

  4. 肥効調節型肥料施用の場合の減肥割合は、堆きゅう肥の種類、施用量並びに土壌診断結果を考慮する。

[具体的データ]

図1 年次別収量


図2 年次別糖度


図3 年次別着色


図4 葉中窒素濃度の年次変化(9月)


表1 試験区の構成と施肥の内容

[その他]
研究課題名:ウンシュウミカン露地栽培における緩効性肥料の効果
予算区分 :助成試験(地域重要)
研究期間 :1996〜2000年度

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