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抑制キュウリのかん水施肥栽培における被覆燐硝安加里を用いた給液管理


[要約]
ハウス抑制キュウリのかん水施肥栽培において、給液管理装置の液肥混入器の役割を被覆燐硝安加里を用いた給液管理で代替することができる。70日溶出タイプの被覆燐硝安加里の利用により県基準施肥量の20%減肥と慣行栽培の約10%の増収が可能となる。

[キーワード]
抑制キュウリ、かん水施肥、被覆燐硝安加里、減肥

[担当]
宮崎総農試・環境部・土壌肥料科

 [連絡先]0985-73-2124
 [区分]九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)
 [分類]技術・普及

[背景・ねらい]
従来のかん水施肥栽培システムは、給液管理装置が高価なことが欠点である。そこで、給液管理装置の液肥混入器を用いずに、被覆燐硝安加里を用いた給液管理方法により、低コストで、省力的な給液システムを開発する。

[成果の内容・特徴]
  1. キュウリのかん水1回分の水をタンクに予め貯め、その中に被覆燐硝安加里を浸漬する。この液を点滴チューブで2日に1回、1株当たり2Lかん水同時施肥する(図1)。

  2. 被覆燐硝安加里(14-12-14)の溶出日数70日タイプを用いると、キュウリの茎葉重、総収量および上物収量とも高くなる(表1)。また、標肥と20%減肥では、70日タイプでは大差なく、40+100日タイプでは標肥の上物収量が高くなる。

  3. 栽培期間中の土壌のECは、慣行栽培では0.20〜1.02mS/cm、70日タイプ20%減肥では0.14〜0.29mS/cmで推移する(図2)。また、硝酸態窒素は慣行栽培では乾土100g当たり5.9〜36.3mg、70日タイプ20%減肥では3.7〜11.1mgで推移する。

  4. 被覆燐硝安加里を浸漬した給液のECの推移は、70日タイプ20%減肥の場合、10月は0.99mS/cm、11月は2.18mS/cm、12月は1.34mS/cm、1〜2月は1.13mS/cmである(図3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 溶出日数40日タイプの被覆燐硝安加里の場合、初期溶出が早く、給液のECが高めに推移するため、かん水施肥開始後約1週間は毎日施用する。

  2. 水温が低いと被覆燐硝安加里の成分の溶出が遅くなるため、給液タンクはハウス内に設置する。

  3. 窒素の溶出に比べ、リン酸、加里の溶出は遅れるが、キュウリの植物体中のリン酸、加里の含有率は大差なく、生育、収量に問題はない。

  4. かん水施肥栽培ではなく、追肥を液肥で施用する場合にも利用可能である。

[具体的データ]

図1 被覆燐硝安加里を用いた給液管理方法


表1 キュウリの生育と収量


図2 土壌(作土)のECの推移


図3 被覆燐硝安加里を浸漬した給液中のECの旬平均の推移

[その他]
研究課題名:キュウリの被覆肥料を用いた給液管理によるかん水施肥栽培技術の確立
予算区分 :国庫助成(地域基幹)
研究期間 :1999〜2001年度

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