牛ふん堆肥を用いた促成インゲンマメのリン、カリ無施用栽培
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[要約]
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促成インゲンマメにおいて、リン酸とカリの養分必要量を牛ふん堆肥から供給することで、これらの化学肥料は不要になる。さらに、肥効調節型窒素肥料の全量基肥施用により、施肥基準の窒素施用量を2割減肥することができる。
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- インゲンマメ、減肥、牛ふん堆肥、肥効調節型肥料、全量基肥
- [担当]
- 鹿児島農試・土壌肥料部
[連絡先]099-268-3234
[区分]九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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わい性インゲンマメ産地においては、家畜ふん堆肥及び化学肥料の過剰施肥による塩類が集積しているハウス土壌が多く、収量低下、環境への負荷が懸念されている。そこで、塩類の集積している圃場において、牛ふん堆肥をリン酸及びカリの供給資材とし、肥効調節型窒素肥料を組み合わせた全量基肥栽培による減化学肥料栽培を検討する。
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[成果の内容・特徴]
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全量基肥区及び全量基肥・無PK化学肥料区の総上品収量は慣行施肥区と同等である(図1)。
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窒素化学肥料と牛ふん堆肥を施用した全量基肥・無PK化学肥料区のリン酸及びカリ吸収量は慣行施肥区と同等で、窒素化学肥料のみ施用した全量基肥・無PK化学肥料・無堆肥区のリン酸及びカリの吸収量は慣行施肥区を下回る(図2)。このことは、促成インゲンマメ栽培のリン酸とカリの養分必要量は牛ふん堆肥で賄うことができることを示している。
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全量基肥・無PK化学肥料区の跡地土壌のトルオーグリン酸及び交換性カリウム含量は栽培開始前と比べ増加したが、慣行施肥区と比べるとその増加量は少ない(表1)。
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以上のことから、促成インゲンマメの栽培において、リン酸及びカリの供給資材として牛ふん堆肥を化学肥料代替施用し、肥効調節型窒素肥料の全量基肥施用により、施肥基準の窒素施肥量を2割減肥することができる。
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[成果の活用面・留意点]
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本試験の施肥法は収穫期間が12月〜5月の促成作型に適応する。
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リン酸及びカリ化学肥料の無施用栽培は、リン酸及びカリの集積している圃場に適応する。
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[具体的データ]

図1 月別上品収量(2000年鹿農試)

図2 作物体の養分吸収量(2000年鹿農試)

表1 栽培終了時の土壌化学性(2000年鹿農試)
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[その他]
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研究課題名:特産園芸ブランド品目及び候補品目の生産性向上技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :1997〜2001年度
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