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かん水同時施肥栽培における無機態窒素濃度評価のための土壌採取位置


[要約]
かん水同時施肥栽培における土壌中の無機態窒素濃度はドリップ点から畦肩方向に離れるほど高くなる。生育中に畦全体の無機態窒素濃度を評価するには、ドリップ点を基点として畦肩方向に10〜20cm離れた位置で深さ10cm程度までの土壌を採取する。

[キーワード]
かん水同時施肥、無機態窒素、土壌採取位置

[担当]
佐賀農業セ・土壌環境部・土壌・肥料研究室

 [連絡先]0952-45-2141
 [区分]九州沖縄農業・土壌肥料
 [分類]技術・参考

[背景・ねらい]
かん水同時施肥栽培(養液土耕栽培)は、点滴チューブによる一定の位置へのかん水施肥のため、畦内の土壌養分濃度が偏る傾向がみられ、生育中の土壌養分濃度を把握する際、土壌採取位置による評価の違いが懸念される。そこで、かん水同時施肥栽培における無機態窒素濃度について、畦全体を最もよく反映する土壌採取位置を検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. 土壌採取位置は図1に示すとおりで、かん水同時施肥栽培の土壌中の無機態窒素濃度はドリップ点から畦肩方向に離れるに従い高くなる傾向がある(図2)。

  2. かん水同時施肥栽培における畦全体と採取位置別の無機態窒素濃度は、ドリップ直下(cおよびf)および畦肩(a)で相関は低いが、ドリップ点から10〜20cm離れた位置(bおよびe)と20〜30cm離れた位置の深さ10〜20cm(d)では相関が高い(図3)。

  3. マルチをした場合、採取位置による無機態窒素濃度の差は小さくなるが、上記の傾向は変わらない(データ略)。

  4. 実際の土壌採取において、畦全体の無機態窒素の評価にあたっては表層(0〜10cm)で相関の高いドリップ点を基点として畦肩方向に10〜20cm離れた位置(b)を採取する。

[成果の活用面・留意点]
  1. 重粘土地帯のかん水同時施肥栽培における土壌診断に活用できる。

  2. ドリップチューブが1本の場合であり、2本以上の場合は濃度分布が変わると考えられるので留意する。

  3. 本成果は畦肩幅60cm、畦高20cmの畦でキュウリの抑制栽培を行ったときの試験結果に基づくものである。

[具体的データ]

図1 土壌採取位置(畦断面)


図2 かん水同時施肥栽培における土壌採取位置の違いと無機態窒素濃度


図3 かん水同時施肥栽培における畦全体と採取位置別の土壌中無機態窒素濃度の関係

[その他]
研究課題名:環境負荷低減のための果菜類・切り花の新栽培・施肥管理システム
予算区分 :助成試験(地域基幹)
研究期間 :2000〜2003年

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