水稲栽培における被覆尿素肥料の重量減少率による窒素溶出率の推定
-
[要約]
-
水稲栽培下で被覆尿素肥料の重量減少率と窒素溶出率には高い正の相関があり、埋め込んだ被覆尿素肥料の乾燥重量を秤量することで、簡易に窒素溶出率を把握できる。
- [キーワード]
- 被覆尿素肥料、水稲、窒素溶出率、重量減少率
- [担当]
- 宮崎総農試・環境部・土壌肥料科
[連絡先]0985-73-2124
[区分]九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)
[分類]技術・参考
-
[背景・ねらい]
-
水稲栽培において、効率的な施肥法として被覆尿素肥料を用いた全量基肥施肥法が普及しているが、天候により窒素溶出パターンが一定でなく生産の不安定要因の一つとなっている。このことを解消するには窒素溶出率を的確に把握することが不可欠である。そこで、簡易に窒素溶出率を測定できる方法を検討する。
-
[成果の内容・特徴]
-
-
重量測定は、被覆尿素肥料2gをお茶パックに入れ作土に埋め込み、抜取り後洗浄し摂氏105度で4〜5時間乾燥後測定する。
-
重量減少率は、被覆材料の重量として現物1g当たりT社肥料は0.13g、M社肥料は0.11g差し引いて計算を行なう。
-
早期水稲および普通期水稲においてそれぞれリニア型の40日から100日タイプまでの3種類とシグモイド型の80日から120日タイプまでの4〜5種類の被覆尿素肥料(T社、M社)を用いて窒素溶出率と重量について検討すると、窒素溶出率と肥料の重量減少率はほぼ同じ値であり、その推移は同様のパターンを示す(図1、図2)。
- 被覆尿素肥料の重量減少率(X)と窒素溶出率(Y)には、早期水稲でY=1.011X‐0.038(R2=0.989)、普通期水稲でY=0.991X‐0.271(R2=0.995)と高い正の相関がある(図3)。
-
[成果の活用面・留意点]
-
-
上記2社のみの成果であり、他社製品については未検討。
-
細粒灰色低地土での結果である。
-
[具体的データ]
-

図1 早期水稲における被覆尿素肥料の窒素溶出率と重量減少率の推移

図2 普通期水稲における被覆尿素肥料の窒素溶出率と重量減少率の推移

図3 被覆尿素肥料の窒素溶出率と重量減少率の関係
-
[その他]
-
研究課題名:水稲栽培における被覆肥料の効率的施用技術の確立試験
予算区分 :受託試験
研究期間 :2001年度
目次へ戻る