サトウキビ栽培における牛ふん堆肥施用が収量および土壌に及ぼす影響
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[要約]
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ジャーガル地域のサトウキビ栽培において、収穫残さ鋤込み時に牛ふん堆肥も鋤込むと、収量は平均12%増加し、土壌中の全炭素含量も増加する。また、収穫残さのみを鋤込むと、鋤込まない場合に比べ収量は減少する。
- [キーワード]
- サトウキビ、ジャーガル、牛ふん堆肥、収量、土壌中全炭素含量
- [担当]
- 沖縄県農業試験場・化学部・土壌保全研究室
[連絡先]098-884-9910
[区分]九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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沖縄県におけるサトウキビ畑土壌の全炭素含量は1%程度であり、有機物の増施が望まれている。また、サトウキビ株出栽培の株出管理時には、石灰窒素等は施用せずに、枯葉などの収穫残さをそのまま鋤込むことが多いが、サトウキビ枯葉は炭素率が高いため、次作への生育阻害が懸念される。そこで、ジャーガル圃場において牛ふん堆肥の効果を明らかにすることにより、サトウキビの増収および土づくりの推進に寄与する。
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[成果の内容・特徴]
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枯葉を鋤込み、牛ふん堆肥(3t/10a)を施用した区では、9年間を通して収量が高く、農家慣行区に比べると、平均12%の増収となった(図1、表1)。
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枯葉などの収穫残さのみを鋤込む農家慣行区では、枯葉を持出した区に比べて、収量は低く推移していた(図1)。
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栽培跡土壌の全炭素含量について、堆肥施用区では、農家慣行区と比べて明らかに増加していた。一方、枯葉持出し区では、農家慣行区に比べて低かった(図2)。
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以上のことから、ジャーガル地域のサトウキビ栽培では、収穫残さ鋤込み時の牛ふん堆肥鋤込みが、土壌中の全炭素含量増加とサトウキビ増収に有効となる。
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[成果の活用面・留意点]
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ジャーガル地域における土づくり推進のための基礎資料として活用できる。
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[具体的データ]
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表1 牛ふん堆肥の成分含有率(乾物%)

図1 サトウキビ原料茎重の推移(S62、H4春植新植)

図2 土壌中全炭素含量の推移
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[その他]
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研究課題名:基準点調査
予算区分 :国庫補助
研究期間 :1987年〜2001年度
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