Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成13年度目次

GPSと超音波風向風速計を用いた風の移動観測手法


[要約]
GPSと超音波風向風速計を用い、車で移動しながら1秒毎の風向風速を測定する手法を確立した。測定精度は風速1m/s、風向10度であり、車の進行方向に対してどの方向から来る風に対しても風向風速が測定できる。

[キーワード]
風向風速、計測手法、移動観測、超音波風向風速計、GPS

[担当]
九州沖縄農研・環境資源研究部・気象特性研究室

 [連絡先]096-242-7766
 [区分]九州沖縄農業・生産環境
 [分類]科学・普及

[背景・ねらい]
日本には強風の常襲地帯と呼ばれるところがいくつもあり、しばしば農業被害が発生している。強風の常襲地帯において風害対策を立てるには、風向風速の分布を正確に把握する必要があるが、風向風速を面的に測定する手法は従来なかった。そこで、超音波風向風速計とGPSを用いることにより、車で移動しながら風向風速を測定する手法を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. 超音波風向風速計から得られる車上の風のベクトルから、GPSから得られる車の移動ベクトルを差し引くことによって、風向風速を算出する(図1)。

  2. 図2に超音波風向風速計とGPSの取り付け状態を示す。測器を車載した状態で移動観測を行うことにより、移動経路上の1秒毎の風向風速が測定される。

  3. 測定精度は風速1m/s、風向10度である。車に対して追い風、向かい風、側面からの風など、どの方向からの風に対しても正確に風向風速が測定される。また、車の速度に関係なく、正確に風向風速が測定できる(図3)。

  4. GPSの測位誤差によって風速の算出値に0.5m/s以上の誤差が出る割合は1%以下であり、無視できる。

  5. GPSから得られる緯度・経度および超音波風向風速計から得られる車上の風のベクトルを自作のソフト(気象特性研究室から入手可)に入力することにより、風向風速が算出される。

[成果の活用面・留意点]
  1. この観測手法を使って局地風「まつぼり風」の強風域が明らかになった。この観測手法を使うことによって面的に風向風速が測定され、風害対策を立てる上での基礎資料を得ることができる。

  2. 超音波風向風速計の取り付けは道路交通法の積載規定に従う必要がある。また、超音波風向風速計は車のボンネットから1m程度離し、かつ、アームに縦揺れが発生しない範囲で車の前部への取り付けが望ましい。

  3. この観測手法はGPSによる測位ができない場所では使用できない。

[具体的データ]

図1 風向風速の算出方法


図2 測器の取り付け状況


図3 風向風速の移動観測例(A)、(B)実線:定点観測値、○:移動観測値

[その他]
研究課題名:盆地霧の実態解明と利用技術の開発
予算区分 :交付金・研究強化費
研究期間 :2001〜2003年度

目次へ戻る