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重粘土壌に適応する自走式バレイショ収穫機


[要約]
新たに開発したバレイショ収穫機は、土塊分離装置、付着土壌除去装置を装備し、重粘土壌地帯で効率的な収穫作業が可能である。作業能率は4時間/10a程度であり、収穫後の付着土壌の重量割合は0.2〜2%程度である。

[キーワード]
バレイショ、収穫機、重粘土壌

[担当]
鹿児島農試・徳之島支場・作物研究室

 [連絡先]0997-86-2004
 [区分]九州沖縄農業・農業機械・土木
 [分類]技術・普及

[背景・ねらい]
鹿児島県においてバレイショは栽培面積の大きい品目である。主要な産地は赤土の重粘土壌地帯であり、また収穫時期に雨が多いことから土塊分離、いもへの付着土壌の分離は既存機械での対応が困難である。このため専ら人力による調製が行われており、多くの労力と時間を要している。そこで、収穫作業の労力軽減を図り、一層の規模拡大を推進するため重粘土壌地帯において土塊・付着土壌の分離が可能な収穫機を開発した。

[成果の内容・特徴]
  1. 開発機は、掘取−土塊分離・付着土壌除去−収納−搬出の一連の収穫作業を行う自走式のバレイショ収穫機である。掘取コンベア幅は800mmで、畦幅80cmの1畦1条植、畦幅120cmの1畦2条植に対応できる。標準的な作業人員はオペレータ兼作業者1名、作業者1名、補助作業者(コンテナハンドリング)の3名である。

  2. 掘取コンベアの強制振動による土塊分離装置、ヘッジホッグローラ、ヘッジホッグコンベアによる付着土壌除去装置を装備し、重粘土壌地帯でも効率的な収穫作業が可能である。収納部は20kgミニコンテナ16個を積載可能であり、4方向可変シュート、昇降式コンテナ台によりコンテナのハンドリングを最小限にしている。

  3. 10a当たりの作業時間は3.5〜4時間程度である。処理量は約650〜700kg/時間程度である。収量2.5t/10a程度であれば3人組作業で4時間/10a、延べ12時間で収穫作業可能である(表2)。再調整時間は延べ5〜10時間であるので、慣行作業体系延べ70時間/10aの3〜4倍の能率である。

  4. 収穫物の損傷の重量割合は、3〜4%程度である。石礫の多いほ場や、傾斜圃場では損傷が増加する傾向がみられる。収穫物への土壌付着の重量割合は、0.2〜2%である。2S以上の収穫損失重量割合は0.4〜1%である。(表3

  5. 作業期間を100日、作業可能日率を60%とした場合の作業負担面積は約10haである。

[成果の活用面・留意点]
  1. 収穫作業の対象地域は重粘土壌地帯とする。粘性の低い土壌では収穫損失が増加する可能性がある。

  2. 適応する作付様式は、畦幅80cm1畦1条植、畦幅120cm1畦2条植である。

  3. 皮むけを防止するため茎葉処理2〜3日後に収穫することが望ましい。

  4. 作業能率、作業精度は、土壌条件や水分条件によって変動する。

[具体的データ]

図1 作業状態


表1 主要諸元


表2 作業能率


表3 作業精度

[その他]
研究課題区分:地域特産農作物用機械開発促進事業
予算区分 :特定
研究期間 :1998〜2000年度

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