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汎用型スクミリンゴガイ防除ロータリの性能


[要約]
開発したスクミリンゴガイ防除ロータリの殺貝率は46〜77%で通常ロータリより29〜33ポイント多く殺貝できる。この結果、貝の生息密度は通常より40〜48%減となる。

[キーワード]
スクミリンゴガイ、ジャンボタニシ、ロータリ、耕うん、防除、機械、稲類

[担当]
九州沖縄農研・水田作研究部・機械化研究室

 [連絡先]0942-52-0692
 [区分]九州沖縄農業・農業機械・土木
 [分類]技術・普及

[背景・ねらい]
西南暖地の湛水直播水稲栽培および稚苗移植水稲栽培において、その生育初期を食害するスクミリンゴガイを、ロータリ耕うん時に効率よく殺貝することで、生息密度を低減し、被害を軽減することを目的とする。通常のロータリ耕うんで作業速度を遅く、ピッチを小さくしても殺貝効果は高まるが、作業時間が増大する。このため、通常のロータリ作業速度で貝密度の低減が可能で、通常の作業機としても使用可能なロータリを開発する。

[成果の内容・特徴]
  1. 開発した防除ロータリは耕幅1.5mで、標準のナタ爪32本に加えて直刃25本を適正に配列した構造であり、直刃は耕うん軸のホルダに装着され、交換可能である(図1)。

  2. 防除ロータリを使用した圃場では、ほぼ同じ耕うん条件で通常ロータリを使用した圃場と比較して貝の生息数が40〜48%減となる(図2)。

  3. 防除ロータリの殺貝効果は小貝(殻高3〜10mm)で通常47.9%に対し76.9%、中貝(同10〜20mm)で通常16.3%に対し45.8%、大貝(同20mm〜40mm)で通常26.1%に対し59.1%とそれぞれ29.0〜33.0ポイントの殺貝効果が認められる(図2)。

  4. PTO駆動トルクは防除ロータリでは215N・m(22.0kg・m)であり、通常ロータリの169N・m(17.2kg・m)に対して27%増加する。また、砕土率は通常とほぼ同じである(表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. スクミリンゴガイ発生水田への通年使用が効果的である。

  2. 適応は17kW(23馬力)以上のトラクタで、通常のロータリ作業機として使用できる。

  3. 直刃へのワラの付着が起きる場合があるので、その場合はワラを取り除く。

  4. 市販化を検討中である。

[具体的データ]

図1 スクミリンゴガイ防除ロータリ


表1 圃場耕うん試験条件


図2 防除ロータリと通常ロータリの殺貝率・圃場生息数比較

[その他]
研究課題名:スクミリンゴガイの機械的防除技術の開発
予算区分 :行政特研「スクミリンゴガイ」
研究期間 :1997〜2000年度

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