カンキツの非破壊選果データを活用した樹園地管理システム
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[要約]
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樹園地管理システムは、各園地の非破壊選果・栽培管理・地理・土壌・農業経営・気象データで構成する属性データと、園地マップ、メッシュマップ、地形図等で構成する地図データを結びつけ、生産・販売対策、産地振興に活用できる。
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- 樹園地管理システム、非破壊選果、マップ
- [担当]
- 長崎総農林試・経営部・経営科
[連絡先]0957-26-3330
[区分]九州沖縄農業・農業経営、果樹
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい]
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カンキツ産地では、全果実の品質を測定できる非破壊選果機の導入が進んでいる。この非破壊選果機から得られる果実品質データ(選果データ)を生産・販売面で活用するため、園地・生産者条件にあった栽培・経営改善指導や、販売対策、産地振興に利用できる樹園地管理システムを開発する。
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[成果の内容・特徴]
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システムは、属性データと地図データを統合的に扱う地理情報システム(GIS)の「宝さがし」(扇精光株式会社)を利用している。
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データは、6つの属性データと、5つの地図データで構成される(図1)。地図データのうち、園地マップは、ポリゴン形式の園地図で、各園地には、選果・栽培管理・地理・土壌・農業経営データがリンクしている。また、500mメッシュマップの各メッシュには、気象データがリンクしている。なお、既存のExcel形式データを属性データとして利用できる。
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主な機能としては、任意園の属性データ表示、属性データのグラフ表示、AND・OR検索、検索条件の登録、検索結果の地図表示、検索結果地図の重ね表示、凡例のユーザー設定、設定エリア内の園地抽出、地図のクリップボードへのコピー、レンダリング(ユーザーが設定したランクで園地等を色塗りする機能)等がある(図2)。
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メニューとしては、年間降水量と糖度別園地の表示(図3)、園地の糖度別表示、マルチ被覆・品種・後継者有無・管理見込み年数別園地表示(図4)、支部別平均糖度表示等を整備している。
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[成果の活用面・留意点]
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このシステムは、栽培管理・個別経営の改善指導等の生産対策、出荷計画・戦略や選果場運営計画の作成等の販売対策、園地改造・品種更新・SS導入計画の作成や労働力・荒廃園対策などの産地対策での活用が見込まれる。
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システム開発は、JAながさき県央大村地区柑橘部会をモデル地区として行った。引き続き、操作性・機能性等の現地検討が必要である。
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システムの稼働環境としては、OSがWindows95、98、2000、NT4.0で、メモリーは128MB以上、ハードディスクは1GB以上必要である。
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[具体的データ]
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図1 樹園地管理システムのデータ構成

図2 地図データの重ね表示画面

図3 年間降水量と糖度別園地の表示画面

図4 管理見込み年数別園地表示画面
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[その他]
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研究課題名:温州ミカンの品質保証果実の少資材・低コスト生産体系の確立
予算区分 :助成試験(地域基幹)
研究期間 :1999〜2003年度
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