ヒュウガナツの大量長期貯蔵技術
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[要約]
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鮮度保持フィルムグレードB又は、キュウリ出荷用フィルムにM〜L玉20果を入れ、開口部を折りたたんで包装し、摂氏5度の低温で貯蔵すると、内容成分などの減少が少なく4ヶ月程度の長期貯蔵が可能である。
- [キーワード]
- ヒュウガナツ、フィルム包装、低温貯蔵
- [担当]
- 宮崎総農試・情報経営部・流通利用科
[連絡先]0985-73-2123
[区分]九州沖縄農業・流通加工
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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ヒュウガナツは通常4月までに収穫・出荷が終了するが、需要の見込まれる夏場における出荷体制を確立するため、長期貯蔵が可能となるMA包装資材の検討を行う。
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[成果の内容・特徴]
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重量歩留まりは、キュウリ出荷用フィルム(以下フィルムKとする)及びピーマン出荷用フィルム(以下フィルムPとする)区で高くなる。これに対し鮮度保持フィルムグレードB(以下フィルムBとする)区は低くなるが、無処理区に比べかなり高い(表1)。無処理区では、67日目に果実表面の萎凋による軟化が現れるが、包装区では認められない。
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貯蔵中、果面障害のこはん症の発生がみられ、フィルムP区で22.7%と高くなるが、他の区では1割程度の発生にとどまる(表2)。
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クエン酸含量は、2ヶ月で約90%、4ヶ月で70〜80%程度を保持できる(表3)。
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貯蔵終了後、包装資材から開封した後の管理では、概ね摂氏27度下の常温放置より摂氏10度での低温管理でクエン酸含量の減少を抑制することができる(表4)。
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[成果の活用面・留意点]
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フィルムの寸法は、20果当たり50〜47cm×42cm・マチ13cmである。
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雨天時及び雨天直後以外の収穫果で手選果したM〜L玉の大きさの充実した傷のない果実を用いる。
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貯蔵は包装資材の封を開けたまま冷却し、十分に品温が低下したのを確認して、包装資材の開口部を折り畳んで貯蔵する。
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出庫後は、摂氏10度前後の低温管理が必要である。
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[具体的データ]
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表1 貯蔵中の重量歩留の推移(%)

表2 貯蔵中のこはん症発生の推移(%)

表3 貯蔵中のクエン酸含量の推移(%)

表4 貯蔵終了時及び開封後のクエン酸含量の変化(%)
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[その他]
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研究課題名:青果物の鮮度保持及び優良種苗安定供給のための新技術開発
予算区分 :県単
研究期間 :2001年度
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