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タマネギ搾汁液によるカットレタスの褐変抑制方法


[要約]
カットレタスをタマネギ搾汁液に浸漬すると、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ活性の上昇は遅延される。カットレタスを2倍希釈したタマネギ搾汁液に5分間浸漬すると、摂氏10度で保存した場合でも5日間は褐変を抑制することができる。

[キーワード]
カットレタス、タマネギ搾汁液、褐変

[担当]
福岡県農総試・生産環境研究所・流通加工部・流通利用研究室、独立行政法人・食品総合研究所・流通安全部・品質制御研究室

 [連絡先]092-924-2930
 [区分]九州沖縄農業・流通加工
 [分類]技術・参考

[背景・ねらい]
カットレタスはカット野菜の中で最も需要の多い素材であるが、褐変による外観品質の低下が早く、現行の処理方法では摂氏10度で保存しても製造日を含めて3日間が商品性の限界となっている。そこで、品質保持期間の延長を図るために、カットレタスの褐変抑制方法を開発する。

[成果の内容・特徴]
  1. カットレタスを2倍希釈したタマネギ搾汁液に5分間浸漬すると、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性の上昇は遅延される(図1)。

  2. 褐変が進行しすでに上昇した酵素活性に対するタマネギ搾汁液の直接的な阻害効果は、PAL活性ではほとんど認められないが、ポリフェノールオキシダーゼ(PPO)活性では、酵素反応液の1/10量のタマネギ搾汁液を添加した場合、約60%低下する(図2)。

  3. カット後、時間が経過して褐変が進行したカットレタスをタマネギ搾汁液に浸漬すると、試験開始時の色調へ戻すことができる(図3)。

  4. カットレタスをタマネギ搾汁液に浸漬すると、摂氏10度でも5日間は褐変は認められず、水洗処理のものより3日間、現行の酢酸等を含む褐変抑制剤で処理したものより2日間以上、褐変を抑制できる(図4)。

[成果の活用面・留意点]
  1. カットレタスの出荷技術の参考資料として活用できる。

  2. カットレタスを新鮮なタマネギ搾汁液で浸漬処理すると、わずかに臭いが残る。

  3. タマネギ搾汁液濃度や浸漬時間など種々の処理条件により、カットレタスの褐変抑制効果は異なる。

[具体的データ]

図1 タマネギ搾汁液がカットレタスのPAL活性の変化に及ぼす影響


図2 タマネギ搾汁液がカットレタスのPALおよびPPO活性に及ぼす影響


図3 カット後タマネギ搾汁液浸漬までの経過時間がカットレタスの色調の改善に及ぼす影響


図4 カット後の処理方法とカットレタスの褐変

[その他]
研究課題名:微生物・酵素利用による新食品開発と輸送・貯蔵法の改善等品質保持技術
予算区分 :国庫(新技術)
研究期間 :1999〜2000年度

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