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カット野菜(ニンジン、カボチャ、サツマイモ)の品質保持技術


[要約]
ニンジン、カボチャ、サツマイモのカット野菜のミックス包装では、包装内で発生するエチレンによりニンジンに障害が発生する。障害回避には酸素透過度2,000cc/m/24hr/atmの包材を用いて摂氏10度で保存すると、品質を6日間保持できる。

[キーワード]
ニンジン、カボチャ、サツマイモ、カット野菜、エチレン、MA包装

[担当]
鹿児島県農産物加工研究指導センター・流通保蔵研究室

 [連絡先]099-268-9325
 [区分]九州沖縄・流通加工推進部会
 [分類]技術・参考

[背景・ねらい]
ニンジン、カボチャ、サツマイモを用いて調理素材(ミックスカット)の開発を行う。障害を伴う品質の劣化や微生物の繁殖を抑制する技術を開発し、不可食部を除いたミックスカット野菜として流通するための、包装・出荷技術を確立して食の簡便性、利便性を求める消費者ニーズに対応し、併せて地域農業、地場食品産業の振興を図る。

[成果の内容・特徴]
  1. ニンジンのカット後保存には色調保持が重要であり、カット後の褐変が少なく(図1)、且つ、腐敗しにくい`向陽二号'が適正品種である。

  2. カボチャのカット後保存には、カット面の微生物増殖抑制が重要であり、カット後摂氏20度の低湿風による15〜30分乾燥処理が有効である(表1)。

  3. サツマイモのカット後保存には色調保持が重要であり、カット後に20分間流水で洗浄してポリフェノールを溶脱させることで、7日間カット面の色調を保持できる(図2)。
  4. ニンジン、カボチャ、サツマイモのカット野菜のミックス包装では、包装内で発生するエチレンによりニンジンに障害が発生する。障害回避には真空包装が有効であるが、摂氏10度、3日間の保存で異臭が発生した。また、MA包材(酸素透過度2,000ml/m2・24hr・atm)を用いると僅かに障害が発生するが、異臭の発生はなく摂氏10度で6日間の保存が可能である(表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. ニンジン、カボチャ、サツマイモのミックス化では、ニンジンがエチレンによる障害を受けるが、MA包装で雰囲気ガス組成を調整することで品質低下の危険は回避できる。

[具体的データ]

図1 品種の違いによるカットニンジンの色調の変化(ペースト)


図2 洗浄時間の違いによるカットサツマイモの色調の変化(生イモ)


表1 摂氏20度で乾燥処理したカットカボチャの生菌数


表2 ミックス化におけるカットニンジンの陥没症状

[その他]
研究課題名:食の需要動向に対応した暖地特産野菜の品質保持技術の開発
予算区分 :県単
研究期間 :1998〜2000

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