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NFT栽培葉ネギ(さが乙女)の品質と品質保持特性


[要約]
NFT方式で栽培した葉ネギの内容成分は、土耕栽培に比べ同等かやや少なく、また季節による変動も小さい。収穫後の全糖、ビタミンC、クロロフィルの減少は土耕栽培と同じかやや速く、外観品質の低下もやや速く、品質保持力は同等かわずかに劣る。

[キーワード]
NFT、ネギ、品質

[担当]
佐賀県農業試験研究センター企画流通部・流通利用研究室

 [連絡先]0952-45-2141
 [区分]九州沖縄農業・流通加工
 [分類]科学・参考

[背景・ねらい]
担い手の減少や高齢化が進むなかで、省力的な栽培や品質管理が可能な養液栽培、高設軽量土耕栽培、灌水同時施肥栽培等が増加しつつある。その一方、それらの栽培方法による生産物の内的品質や品質保持力の検討事例は多くはない。そこで、これらの栽培方法のうちベッド中に培養液を浅く循環させ支えを用いる水耕栽培の一種であるNFT方式は、栽培が容易で生育が早い。NFT方式で栽培された葉ネギ「さが乙女」の品質及び品質保持力を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. NFT栽培では土耕栽培に比べ乾物率がやや小さく、クロロフィルは少なくビタミンCと全糖は少ない傾向であり、成分含量が少ない(表1)。

  2. 内容成分の季節変動は、土耕栽培よりやや小さい(表1)。

  3. 糖の組成は、NFT栽培と土耕栽培ともにグルコース≧フルクトース>スクロースとなり、栽培方法の違いによる差は小さい(表2)。

  4. NFT栽培の葉ネギの収穫後の内容成分の減少は、土耕栽培よりクロロフィルとビタミンCはやや早く、全糖は同じである(表3)。

  5. 収穫後の品質変化はNFT栽培が土耕栽培より萎凋や外観品質の低下がわずかに速く、品質保持力は土耕栽培と同等かわずかに劣る(表3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 標高400mでの無加温、施設栽培の結果である。

  2. NFT栽培では培養液の電気伝導度(EC)を2.3〜2.5mScm-1に設定。
  3. 生育はNFT栽培が早く栽培日数で2〜3割短い。収穫時の大きさを合わせるために植付けをずらした。

  4. NFT栽培は管理や植穴間隔により、品質は変化することが考えられる。

[具体的データ]

表1 栽培方法による成分変化


表2 栽培方法と可溶性糖類(mg/100g)


表3 栽培方法と保存中の変化(摂氏15度保存)

[その他]
研究課題名:食の需要動向に対応した暖地特産作物の品質管理技術の開発
予算区分 :助成試験(地域重要新技術)
研究期間 :平成10〜12年度

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