カット葉ネギの品質変化と品質保持
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[要約]
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葉ネギの品質低下は、カットにより促進され、保存温度が高くカット長が短いほど速い。カットネギのプラスチック容器詰めでは、充填率の違いが鮮度に及ぼす影響は小さい。カットネギを焼成カルシウム溶液に浸積すると、その鮮度が良好に保持される。
- [キーワード]
- カット、ネギ、品質、焼成カルシウム
- [担当]
- 佐賀県農業試験研究センター 企画流通部・流通利用研究室
[連絡先]0952-45-2141
[区分]九州沖縄農業・流通加工
[分類]科学・参考
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[背景・ねらい]
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生活様式が変化し野菜に対する消費者ニーズも簡便性が求められ、生ゴミを出さないカット野菜の需要が増加している。カットにより品質特性、特に日持ち性は低下するとされる。そこで、葉ネギのカットによる品質保持力の変化とカットネギの品質保持技術を検討する。
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[成果の内容・特徴]
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葉ネギはカットすることで、糖分含量及び外観品質の低下が速まる(表1)。
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カットネギは、カット長が短いほど品質低下に及ぼす保存温度の影響が強くなり、保存温度が高いと鮮度の低下は急激に速まる(表1)。
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カットネギのプラスチック容器への充填率(W/V)が鮮度に及ぼす影響は、充填率の7.5〜17.5%では充填率が低いと保存中の減少率がわずかに高いが内容成分や外観品質には影響しない(表2)。
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カットネギの包装資材としては、実用されている機能性包装資材の鮮度保持効果は高く、アリルイソチオシアネート(AIT)のスプレーやパウチ型副資材及びキトサン不織布とプラスチック容器を組合わせたものより優れる。(データ略)。
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カット前の洗浄では、焼成カルシウム水溶液による洗浄はビタミンCの減少や外観評価の低下が緩やかとなり鮮度保持効果は高く、処理濃度は0.1%,処理時間は3分程度が適当である(図1)。
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[成果の活用面・留意点]
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充填率と充填の程度は、7.5%では半量程度で12.5%では容器の8割程度で17.5%では蓋で押し縮める状態となる。
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焼成カルシウムは、食品添加物では製造用剤に分類されている。
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焼成カルシウムの原料には卵殻,貝殻,サンゴ等多くの種類があるが、資材で効果に差が認められる。
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[具体的データ]
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表1 カット長と全糖及び外観評価

表2 カットネギの容器充填率が品質に及ぼす影響(摂氏15度)

図1 焼成カルシウムの鮮度保持効果
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[その他]
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研究課題名:食の需要動向に対応した暖地特産作物の品質管理技術の開発
予算区分 :助成試験(地域重要)
研究期間 :平成10〜12年度
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