甘しょでん粉粕の抗酸化能
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[要約]
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甘しょでん粉粕は抗酸化能をもつ機能性成分を含む。乾燥でん粉粕を摂氏170度で1時間加熱処理することにより抗酸化能が増加する。抗酸化能は品種により差がある。
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- 甘しょ、でん粉粕、食品機能性、抗酸化能、焙焼、食品素材
- [担当]
- 鹿児島県農産物加工研究指導センター・流通保蔵研究室
[連絡先]099-268-3231
[区分]九州沖縄・流通加工推進部会
[分類]科学・参考
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[背景・ねらい]
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甘しょでん粉粕はクエン酸原料としての需要が激減し、廃棄物として処理しなければならない状況にある。クエン酸原料に替わる利用法として食物繊維源としての利用が期待されるので、その機能性を検索し、食品素材としての価値評価を行う。
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[成果の内容・特徴]
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甘しょでん粉粕には抗酸化能をもつ機能性成分が含まれる。抗酸化能は加熱処理により増大し、食品原料としては、焙焼条件は摂氏170度、1時間が適当である。(図1)
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精製した甘しょでん粉粕は油の酸化抑制に効果が認められる(図1)。
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精製・焙焼した甘しょでん粉粕に含まれる生理活性物質は単一ではなく、数種類の成分からなると推定される(図2)。
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焙焼による抗酸化能の増大は、弱陰イオン交換体カラムによる分画成分中、初期溶出の画分が関与すると推定される(図3)。
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原料用品種から調製したすべてのでん粉粕に抗酸化能があり、なかでは、ジョイホワイト、コガネセンガン、シロユタカがやや高い活性を示す(表1)。
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[成果の活用面・留意点]
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抗酸化能を示す生理活性物質の同定はまだできていないが、甘しょでん粉粕は抗酸化能を有し、かつ食物繊維源として種々の食材に添加しての製品開発が可能である。
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[具体的データ]
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図1 でん粉粕の抗酸化能と油の酸化に及ぼす添加の効果

図2 焙焼でん粉粕生理活性成分のDEAEトヨパールによる分析

図3 でん粉粕の焙焼に伴う生理活性物質の変化

表1 甘しょ品種とでん粉粕抗酸化能
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[その他]
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研究課題名:酵素等による澱粉粕廃棄物の有効利用技術
予算区分 :国庫助成(地域先端技術共同研究開発促進事業)
研究期間 :1999〜2001
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