ワケギの結球性に関わる遺伝子が座乗した染色体の推定
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[要約]
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染色体識別マーカーを用いることにより、3倍体ワケギの実生でシャロット由来染色体の欠失を識別できる。また、マーカーの有無で分けた実生群間の検定により、結球性に関わる遺伝子は第1、第2及び第5染色体に座乗していると推定される。
- [キーワード]
- ワケギ、シャロット、染色体、マーカー、結球性、遺伝子
- [担当]
- 佐賀農業セ・バイオテクノロジー部・野菜育種研究室
[連絡先]0952-45-2141
[区分]九州沖縄農業・植物バイテク
[分類]科学・参考
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[背景・ねらい]
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ワケギは、ネギ(F=8)とシャロット(A=8)のゲノムから成る異質2倍体植物(2n=FA=16)である。佐賀県では、ワケギに含まれるシャロット染色体の各々を識別できるRAPDマーカーを明らかにした(1999)。そこで、染色体識別マーカーを用いて3倍体ワケギ(2n=FFA=24)の実生におけるシャロット染色体の欠失程度を明らかにすると共に、実生群の形質調査により結球性に関わる遺伝子が座乗した染色体を推定する。
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[成果の内容・特徴]
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3倍体ワケギの実生では、染色体識別マーカーの欠失が多数認められる。欠失するマーカーの数は個体によって様々である(表1)。
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染色体識別マーカーが欠失した個体では、実際の顕微鏡観察においても染色体数の減少が認められる(図1)。
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第5染色体識別マーカーの有無で分けた実生グループ間では、基部径、球形成、球皮色、貯蔵性のいずれにおいても有意差が認められることから、結球性に強く関わる遺伝子が第5染色体に座乗していると推定される(表2)。
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同様に、第1及び第2染色体でもいくつかの形質で有意差が認められることから、結球性に関わる別の遺伝子がこれらの染色体に座乗していると推定される(表2)。
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[成果の活用面・留意点]
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本技術は、3倍体ワケギの品種改良において活用できる。
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3倍体ワケギの稔性は極めて低いので、実生を作出するには、ネギ(2倍体)の花粉を交配し、未熟種子(2〜3週間後)を培養する。
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[具体的データ]
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表1 3倍体ワケギの実生における各染色体識別マーカーの有無

図1 3倍体ワケギの実生の染色体

表2 各染色体識別マーカーの有無で分けた実生グループ間の有意差検定
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[その他]
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研究課題名:培養変異の遺伝子診断による有用形質獲得体の早期選抜技術の開発
予算区分 :地域先端
研究期間 :1996〜2001年度
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