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パーティクルガン法による青果用カンショ(品種 宮崎紅)へのサツマイモ斑紋モザイクウイルス外被タンパク質遺伝子の導入


[要約]
パーティクルガンを用いた遺伝子導入法の条件を検討した結果、金粒子径1.6μm、ヘリウムガス圧1,350PSI、発射回数1回、塗布DNA量0.5μgが優った。ウイルス外被タンパク質(CP)遺伝子導入を試みたカンショカルス1,733個中3個のカルスから導入遺伝子が確認され、さらに11個の植物体が得られた。また形質転換植物体から導入CP遺伝子由来RNAが認められた。

[キーワード]
パーティクルガン、カンショ、遺伝子導入、サツマイモ斑紋モザイクウイルス

[担当]
宮崎総農試・生物工学部、九州研

 [連絡先]0985-73-2125
 [区分]九州沖縄農業・植物バイテク
 [分類]科学・参考

[背景・ねらい]
サツマイモ斑紋モザイクウイルス(SPFMV)強毒系統による帯状粗皮病は青果用カンショの重要な病害である。その防除対策の一つとして、ウイルス抵抗性付与を目的に胚様体分化能を持つカルスにSPFMVCP遺伝子の導入を試みた。

[成果の内容・特徴]
  1. パーティクルガン法の遺伝子導入条件を検討した。その結果、金粒子径では1.6μm、ヘリウムガス圧は1,350PSIの効率が良かった(図1)。なお、発射回数、塗布DNA量による差は認められなかった(図1)ため、発射回数1回、塗布DNA量はマクロキャリアー当たり0.5μgとした。

  2. 遺伝子導入を試みたカルス塊1,733個をハイグロマイシン100ppm含有培地で選抜した結果、生存した4個中3個のカルス由来DNAからCP遺伝子特異的プライマーを用いたPCRによりCP遺伝子が確認された。

  3. 植物体再分化を試みた結果、合計11個の植物体が得られた。さらに、CP遺伝子をプローブにサザンハイブリダイゼーションを行った結果、形質転換体ではバンドが認められ、1個体当たり2個以上の遺伝子の導入が推定された(図2)。

  4. 形質転換体、非形質転換体としてウイルスフリー個体及びウイルス罹病個体を用い、ISOGENによりRNAを抽出した。DNA分解酵素処理を行ったRNA抽出物からCP遺伝子特異的プライマーを用いたRT-PCRにより、形質転換体及びウイルス罹病個体からCP遺伝子由来RNAが確認された(図3)。

[成果の活用面・留意点]
カンショ(品種宮崎紅)への遺伝子組換えが可能となった。

[具体的データ]

図1 カンショカルスにおけるパーティクルガン法での遺伝子導入条件の比較


図2 SPFMVCP遺伝子を用いたサザンハイブリダイゼーション


図3 SPFMVCP遺伝子特異的プライマーによるRT-PCR

[その他]
研究課題名:遺伝子組換え実用化試験
予算区分 :県単
研究期間 :1996〜2000

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