Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成14年度目次

晩生良質良食味の水稲新品種候補系統「佐賀27号」


[要約]
水稲「佐賀27号」は熟期が「レイホウ」より1日程度早い“晩生の早”である。穂数は少ない中間型で、短稈で耐倒伏性に優れ、草姿、熟色とも良い。食味は「ヒノヒカリ」より優れる。収量性は「ヒノヒカリ」より優れ、外観品質も良い。

[キーワード]
新品種、佐賀27号、晩生、極良食味、良質、耐倒伏性

[担当]
佐賀県農試セ・バイオテクノロジー部・水稲育種研究室

[連絡先]電話0952-45-2141、	
[区分]九州沖縄農業・水田作	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
本県の晩生品種はほとんどがモチ米の「ヒヨクモチ」で、わずかに酒米の掛け米として「レイホウ」が栽培されている。特にモチについては、全国出荷量の約4分の1を本県の「ヒヨクモチ」が占めている。近年のモチ米の情勢は厳しく、需要量の減少から契約生産量も年々減少し、作付も減少の傾向にある。しかし「ヒヨクモチ」に代替する晩生で食味の良い奨励品種がないため、良質、極良食味の栽培特性が優れた晩生品種を育成する。

[成果の内容・特徴]
「佐賀27号」は1993年、佐賀県農業試験研究センターにおいて、「西海201号」を母、「関東165号」を父として人工交配した組合せから育成された。本系統の特性は以下のとおりである。

  1. 出穂期、成熟期は「レイホウ」に比べともに1日早く、「ヒノヒカリ」よりそれぞれ7日、12日程度遅い晩生種である(表1)。

  2. 稈長は「レイホウ」、「ヒノヒカリ」より短く、穂長は「レイホウ」より短く、「ヒノヒカリ」と同程度。穂数は「レイホウ」より少なく、「ヒノヒカリ」と同程度(表1)。

  3. 耐倒伏性は「レイホウ」、「ヒノヒカリ」より強く“極強”である(表1)。

  4. 葉色がやや濃く、止葉の直立性は“立”で、籾は少程度に中芒を有する(表1)。

  5. いもち病真性抵抗性遺伝子型は“Pia,i”を持つと推定され、葉いもちおよび穂いもち圃場抵抗性はそれぞれ“弱”である。白葉枯病圃場抵抗性は“やや弱”で、穂発芽性は“難”である(表1)。

  6. 収量は「レイホウ」よりやや少ないが、「ヒノヒカリ」より多収である(表1)。

  7. 玄米千粒重は「レイホウ」よりわずかに軽いが、「ヒノヒカリ」より重い。外観品質は腹白、心白、乳白の発生が少なく、安定して良い(表1図1)。

  8. アミロース含有率、タンパク質含有率とも「ヒノヒカリ」並で、炊飯米は光沢、粘りが強く、味が良い。食味は「ヒノヒカリ」より優れる(表1表2表3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. いもち病に弱いので、発生の少ない平坦肥沃地に適する。

  2. 白葉枯病に弱いので、適期防除に留意する。

  3. 短稈で倒伏に強いが、食味向上のため多肥栽培は避ける。

[具体的データ]

表1 特性一覧


表2 理化学特性(1999〜2002年)


表3 「佐賀27号」の食味評価(穀検依頼)


図1 3白の発生程度(1997〜2001年)

[その他]
研究課題名:水稲品種の育成
予算区分 :県単
研究期間 :1993〜2002年度