Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成14年度目次

ホールクロップサイレージ用イネの湛水土中直播栽培における追肥施用法


[要約]
ホールクロップサイレージ用イネを打込み式代かき同時土中点播直播栽培する場合の窒素追肥量は「クサユタカ」、「ホシユタカ」とも5kg/10aとし、時期は「クサユタカ」で出穂20日前、「ホシユタカ」で出穂30日前に施用することで、黄熟期TDN収量を確保し倒伏も回避できる。

[キーワード]
飼料イネ、ホールクロップサイレージ、点播直播、施肥、追肥時期

[担当]
大分農技セ・久住試験地

[連絡先]電話0974-76-0033	
[区分]九州沖縄農業・水田作	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
拡大する転作水田の有効利用法として飼料イネが注目されている。飼料イネ栽培には省力低コスト化が求められているため、直播栽培が有望である。そこで、打込み式代かき同時土中点播直播栽培における、倒伏を回避しつつTDN収量を確保する施肥技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. 「クサユタカ」は追肥量を増すと乾物収量、TDN収量は増加する傾向にあるが顕著でなく、窒素成分7kg/10a施用では倒伏も発生した。追肥時期の違いによる乾物収量、TDN収量については顕著な差は認められない(図1図2)。

  2. 従って「クサユタカ」の追肥法は、倒伏回避のため窒素成分5kg/10aを出穂前20日に施用するのが最も効果的である。

  3. 「ホシユタカ」は追肥量を増すと乾物収量、TDN収量は増加する。窒素成分7kg/10a施用しても倒伏しないがTDN収量の増加程度は小さい。追肥時期は、出穂前20日追肥と比較して、出穂前30日追肥のほうが乾物収量、TDN収量は増加する(図1図2)。

  4. 従って「ホシユタカ」の追肥法は、窒素成分5kg/10aを出穂前30日に施用するのが最も効果的である。

  5. 標高600m以下の地帯においてTDN収量60〜90kg/aを確保できるが、高地力水田や有機物の多量投入条件下では倒伏が生じる場合があるため、施肥量の調整が必要となる(表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 標高600m以下の地帯に適応する。

  2. ホールクロップサイレージ用イネの施肥基準の設定に活用する。

  3. 本データの播種量は両品種とも約150粒/[m&st;sup>2](一般粳米の乾籾0.4kg/aに相当)とした。

[具体的データ]

図1 黄熟期の乾物収量


図2 黄熟期のTDN含量及びTDN収量


表1 現地試験成績

[その他]
研究課題名:中山間地域における飼料イネの栽培・利用技術の確立
予算区分 :助成試験(新技術実用化型)
研究期間 :2000〜2002年度