生イグサの摂氏55度定温乾燥によるイグサの品質向上
- [要約]
- 生イグサの乾燥温度を摂氏55度の定温で行うことにより、慣行の乾燥温度摂氏70度に比べ部分変色茎が10〜30%減少し、摩耗強度は10%程度強く、引っ張り強度は約5%強化される。乾燥時間は慣行より1〜2時間長くなるものの、消費燃料は10アール当たり400L程度で慣行とほぼ同等である。
- [キーワード]
- イグサ、乾燥、部分変色茎
- [担当]
- 熊本農研セ・い業研・加工部
[連絡先]電話0965-52-0372
[区分]九州沖縄農業・水田作
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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中国産イグサの台頭により畳表価格が低迷し、農家のイグサ離れや面積の減少が続いており、高品質化への更なる取り組みとコスト低減が求められている。このことから、高品質対策として、イグサの材質や色調に大きく影響するとされる生イグサの乾燥に着目し、その再構築をはかる。
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[成果の内容・特徴]
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乾燥後に発生する部分変色茎(テレ・ヤケ)は、摂氏55度定温乾燥が慣行摂氏70→60度の変温体系(以下摂氏70度)より少なく、品種「岡山3号」「ひのみどり」とも30%減少する。(図1)
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一本のイグサの摩耗強度は、摂氏70度より摂氏55度が1割程度強くなる(図2)。
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一本のイグサの引っ張り強度は、摂氏70度より摂氏55度が4〜7%強くなる(図3)。
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900束規模の摂氏55度定温乾燥は、16時間を要し、慣行より1〜2時間長くなる(図4)。
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900束規模の摂氏55度定温乾燥に必要な燃料は、10アール当たり換算で概ね400Lであり、慣行とほぼ同等である(表1)。
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[成果の活用面・留意点]
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摂氏55度定温乾燥は乾燥むらが解消しにくいので、イグサの詰め込みは均一に行う。
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乾燥途中に乾燥むらを確認したら、未乾燥束を取り除き温風の道を作る。
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燃料使用量は乾燥規模や草質・天候等によって変動する。
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[具体的データ]
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図1 乾燥温度と部分変色茎の発生率

図2 乾燥温度とい茎の摩耗量

図3 乾燥温度とい茎の引っ張り強度

図4 摂氏58度設定の乾燥温度の推移(A農家の例)

表1 乾燥温度と燃料消費量(農家の実例)
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[その他]
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研究課題名:イ製品ブランド確立のための加工技術の開発
予算区分 :県単
研究期間 :2000〜2002年度