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茎の太さを揃えるための簡易標本


[要約]
高品質畳表に求められるイグサ茎の太さの変動係数は9%以下である。その変動係数を簡易的に判断するために作製した切断面標本は、製織前の選り出し指標として有効である。

[キーワード]
イグサ、畳表、茎の太さ、変動係数

[担当]
熊本農研セ・い業研・加工部

[連絡先]電話0965-52-0372	
[区分]九州沖縄農業・水田作	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
本県では、安価な中国産畳表の輸入増加に伴う価格低迷が続いており、その対策の一つである高品質化への取り組みが急務となっている。そこで、高品質畳表に求められる茎の太さの揃いの程度を明らかにして、その生産を目標とした加工指針を作成し効果を確認する。

[成果の内容・特徴]
  1. 高品質畳表に求められる茎の太さの変動係数は9%以下である(図1)。

  2. 選り出す前の茎の太さの変動係数により、それを9%以下にするための太い及び細い茎の除去割合が決定される(図2)。

  3. イグサ茎の太さの揃いは、茎の束の切断面の観察により判断できるため、太さの変動係数が既知の切断面をその簡易測定標本とする(図3)。

  4. 以上のことから、切断面標本を用いた高品質畳表生産加工指針は以下の通りである。

    1)製織を行うイグサ150本の束を、根元から50cmの箇所で切断し、根元側、先端側いずれかの切断面を供試材料とする。

    2)その切断面と標本を比較して、茎の太さの変動係数を確認し、以下の方法で除去本数(割合)を求める。

    ア.変動係数が、9%以下の場合:太さの揃いは良好と判断し、慣行方法に準じる。

    イ.変動係数が、9%〜10%の場合:太い及び細いイグサを2〜3本ずつ除去し、9%標本と同程度になるまでの除去本数(割合)を求める。

    ウ.変動係数が、10%以上の場合:前述図2から求められる除去割合を参考にして除去を行い、9%標本と同程度になるまでの除去本数(割合)を求める。

    3)前述(2)で求めた除去割合を基にして、実際の製織作業で選り出しを行う。

  5. 高品質畳表生産加工指針に従って加工した畳表は、通常行っている方法と比較して茎の太さの揃いが良好となり、品質が向上した(図4)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 変色茎の選り出しは、通常通り行う。

[具体的データ]

図1 高品位と判断された畳表の茎の太さの変動係数


図2 選り出し後の変動係数を9%未満にするための除去割合


図3 切断面標本(等倍)と変動係数(品種名「岡山3号」、茎の太さ1.39mm)


図4 標本による学習効果

[その他]
研究課題名:効率的畳表加工体系の確立
予算区分 :県単
研究期間 :1999〜2000年度